駐車場を相続した場合の注意点は?有効な相続税対策はある?

駐車場経営は少ない初期投資で始められることもあり、人気の土地活用方法です。
浦安・南行徳・行徳エリアでも、以前よりはだいぶ減りましたが、住宅地の中に駐車場が広がっている、という風景を見ることも少なくありません。
駐車場を相続した場合、どのようなことを考慮しなければならないのか見ていきましょう。
駐車場の相続税について
ご自宅の近くの土地や、実家から受け継いだ土地を「駐車場」として活用されている方もいらっしゃると思います。
毎月の安定した収入源として大変魅力的な駐車場経営ですが、いざ「相続」となると、「自分の駐車場にはどれくらいの相続税がかかるのだろう?」と不安に感じることもあるかもしれません。
これまでもお伝えしてきた通り、不動産の相続税評価はただ面積だけで決まるわけではありません。
特に駐車場用地は、その「使い方(経営形態)」によって、評価額が大きく変わる特殊な土地です。
評価額が大きく変われば、当然、納めるべき相続税の額も変わってきます。
知っておきたいポイントや注意点など見ていきましょう。
その1:駐車場の「地目」は宅地じゃない?評価の基本を知る

まず、相続税を計算するための土地の分類である「地目(ちもく)」から理解しましょう。
地目とは、土地の利用目的による分類のことで、一般的に「宅地」「田」「畑」などがあります。(詳しくは割愛しますが全部で23種類あります)
1. 駐車場の地目「雑種地」とは?
駐車場は、一般的に「宅地」ではなく「雑種地(ざっしゅち)」に分類されます。
「雑種地」とは、どの地目にも該当しない土地、例えば、資材置き場やテニスコートやゴルフ場、そして駐車場などが含まれます。
「雑種地」と聞くと、住宅が建つ「宅地」よりも評価が低いと思われがちですが、相続税の世界ではそう単純ではありません。
2. 評価額は「宅地」とほぼ同じになる理由
相続税評価における雑種地のルールは、「その土地と似た状況にある、周りの土地の価額を参考にして評価する」というものです。
都市部や住宅地の真ん中にある駐車場であれば、周囲は住宅やマンション、店舗などの「宅地」ばかりです。そのため、駐車場用地の評価額も、結果として「その土地が宅地だと仮定した場合の価額」に非常に近くなることがほとんどなのです。
その2:評価額の分かれ目!2つの「経営形態」
駐車場の評価額に大きく影響するポイントの一つとして「経営形態」があります。
つまり、その土地を「誰が・どのように使っているのか」という点です。
ここでは2つのケースを見ていきましょう。
ケース1. オーナー(故人)が直接経営している場合
これは、土地の所有者自身がアスファルト舗装や砂利敷きなどの設備投資を行い、利用者と直接契約して月極や時間貸しをしているケースです。
この場合、相続税評価ではその土地を「自用地(じようち)」として評価します。
自用地とは、簡単に言うと「他人使用する権利のない、所有者が自由に使っている土地」のことです。
なぜ「自用地」になるのか?
ポイントは、駐車場の利用契約では、借りている人(利用者)に「借地権(しゃくちけん)」が発生しないと見なされるからです。
借地権とは、アパートや一戸建てを建てるために土地を借りる際に発生する、土地の利用権のことですが、駐車場契約の場合、これに該当しません。
そのため、土地の評価額は基本的に減額されない自用地の評価額となります。
重要なポイント!「小規模宅地等の特例」で節税のチャンス
この自用地評価のケースで、アスファルト舗装や砂利敷きなどの設備を施し、事業として利用されていた場合は、非常に大きな節税のチャンスがあります。
それは「小規模宅地等の特例」です。
これは、自宅や事業に使っていた土地の相続税評価額を大きく下げる特例で、貸付事業用宅地等として認められれば、最大200㎡まで土地の評価額が50%(半分)に減額される可能性があります。
オーナー自らが設備を施し、事業として駐車場を営んでいたという状況が、この特例の適用要件を満たす鍵となります。
ケース2. 業者に土地を一括で貸している場合(一括借り上げ)
土地のオーナーは土地だけを所有し、駐車場運営会社などの業者に土地を一括で貸し付け、業者がすべての設備投資や運営、管理を行っているケースです。
この場合も、土地の評価は基本的に自用地となります。
しかし、業者に土地を貸しているという事実は、その土地に「賃借権(ちんしゃくけん)」という、業者側の利用する権利が発生していると見なされる可能性があります。
この賃借権の価額を、土地の評価額から差し引くことができる場合があります。
これにより、オーナーが直接経営するよりもわずかに評価額が下がる可能性がありますが、この減額効果は、前述の「小規模宅地等の特例」による50%減額に比べると小さいことが一般的です。
まとめ
貸駐車場の相続税評価は、「誰が・どのように・どれだけの手間をかけて事業として運営してきたか」によって大きく変わります。
駐車場を所有されている場合は、まずはご自身の経営形態がどちらに当てはまるのかを確認しましょう。
そして、特に節税効果の高い小規模宅地等の特例の適用を受けるための要件を満たしているかを確認することが、駐車場を相続する場合の相続税対策の最重要課題となります。
駐車場を所有している場合の状況は千差万別です。
浦安・南行徳・行徳近辺のエリアでお悩みの場合は、まずは不動産の専門家集団である荒井会計事務所までお気軽にご相談ください。