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2024年7月11日 不動産コラム 不動産住宅小規模宅地等の特例申告相続相続税要件評価額遺産

相続税を大幅圧縮する「小規模宅地等の特例」について解説

故人から不動産を相続するとなった際に適用される、もっとも重要な法律のひとつに「小規模宅地等の特例」があります。

小規模宅地等の特例は、被相続人(故人)の自宅や事業用宅地の評価額を最大80%減額することで、残された家族が住み続けられるようにする制度です。

今回はこの「小規模宅地等の特例」の内容や、適用された際の相続税の計算方法について解説します。

「小規模宅地等の特例」の概要と、適用条件

「小規模宅地等の特例」は、亡くなった人の自宅として使っていた宅地等を対象に、330㎡までの部分の評価額を80%減額できるというものです。

相続によって引き継がれる不動産は、その使いみちや特徴に応じて次の4つに分類され、その土地の種類によって一定の割合が減額されます。


特定居住用宅地(330㎡まで80%減):故人や故人と生計を共にしていた親族が居住していた土地
特定事業用宅地(400㎡まで80%減):故人が事業で使っていた土地や建物(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車業など以外の事業)
貸付事業用宅地(200㎡まで50%減):その土地を第三者に貸すことで収入を得ている土地(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車業などで使っていた土地)
特定同族会社事業用宅地(400㎡まで80%減):相続開始の直前に、故人が特定の同族会社の事業で使っていた土地

「小規模宅地等の特例」は、主に相続した人の生活を守るためにあります。

例えば、現金資産を遺さずに亡くなってしまった故人から今住んでいる家を引き継いだとします。
ところが、この宅地に対して高額な相続税が課せられてしまうと、相続税を支払うことができずに、その家を手放すといったケースが発生します。

そうなると、同居していた家族は住む場所がなくなり路頭に迷ってしまうため、土地評価額を80%減らして相続税を圧縮しようというものなのです。

なお、故人と相続した人の関係性によって、適用要件が異なります。
こちらの要件も、遺された同居家族を守るために設定されています。

  • 配偶者:無条件で特例を受けられる。
  • 同居親族:相続時に同居し、その後も引き続き住み続ける必要がある。
  • 別居親族(家なき子):3年以上持ち家がなく、申告期限まで宅地を保有すること。

「小規模宅地等の特例」を適用すると、評価額はどうなる?

例として、評価額6,000万円、面積400㎡の宅地を相続したとしましょう。
相続税の基礎控除額である3,000万円を超えてしまっているので、超過した3,000万円には相続税が課せられます。

ですが、特例を適用すると、330㎡までの部分の評価額を80%下げ、残りの70㎡分は通常通りに評価額を計算することになります。

・1㎡あたりの評価額=15万円
・330㎡までの評価額=15万円×330㎡×0.2(80%下げる)=990万円
・残りの70㎡の評価額=15万円×70㎡=1,050万円

評価額の合計=2,040万円

評価額が2,040万円であれば、基礎控除3,000万円の枠に収まっているので、相続税は発生しません。
このように「小規模宅地等の特例」を適用すれば、大幅に相続税を圧縮することができるのです。

「小規模宅地等の特例」の注意点

「小規模宅地等の特例」を適用する際には、次の点に注意しましょう。

  1. 相続税申告が必要:小規模宅地等の特例を受けるには、特例適用前の評価額が基礎控除(3,000万円)を超える場合に申告が必要です。
  2. 申告期限前の売却:特例対象の宅地等を申告期限前に売却すると、特例は適用されません。ただし、配偶者は例外です。
  3. 相続時精算課税制度との関係:この制度を利用して贈与で取得した宅地等は、本特例の適用対象外となります。

※参照:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

「小規模宅地等の特例」で必要な書類

宅地の種類によって適用時に添付する書類は異なりますが、主には次のようなものです。

・遺言書または遺産分割協議書の写し
・戸籍謄本
・住民票または戸籍の附票の写し(故人と同居していたことの証明)
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したものと同じもの)
・申告期限後3年以内の分割見込み書(相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立しなかった場合)

よくある質問

では次に、小規模宅地等の特例について、よくある質問を紹介しましょう。

・老人ホームに入居していても特例を受けられるか?
 特定の要件を満たす場合、特例を受けることができます。

・二世帯住宅は、同居として扱ってもらえるか?
 建物が区分所有登記されていない場合は「同居」としてみなされます。

・遺産分割協議がまとまらない
 申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合、特例は受けられませんが、相続税の申告書にあわせて「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、遺産分割を待って特例を受けることができます。

まとめ

小規模宅地等の特例は大きな節税メリットがありますが、要件や書類に細かい規定があります。
また、この法律はたびたび改正されるので、まずは専門の税理士に相談することをおすすめします。

不動産相続の予定がある方、相続時の正しい節税方法を知りたいという方は、
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この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
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