家賃収入の計上時期はいつにしたらいい?
不動産賃貸契約書では、多くの場合、「翌月分の家賃を前月末日までに支払う」という取り決めになっています。
そうなると、例えば「2025年1月の家賃は2024年12月末日までに振り込まれる」ことになり、年末や年度末の賃料は、どのように計上したら良いのか迷う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、家賃収入の会計処理の基本と、計上のタイミングについて解説したいと思います。
市川市・浦安市エリアで、不動産収入の税務にお悩みの方は、不動産税務に強い専門家集団である荒井会計事務所までお気軽にご相談下さい!
家賃収入の会計処理の基本
不動産を賃貸に出し、定期的に収入を得ている場合、「不動産収入」として確定申告をする必要があります。
不動産収入と聞くと、家賃収入をイメージする人が多いと思いますが、実は「不動産を第三者に賃貸したことによって得た収入」全般を指しています。
そのため、マンションやアパートの賃料だけでなく、店舗や月極駐車場の賃料、土地のみの使用料についても、不動産収入に含まれることになります。
家賃収入を計上するタイミングは?
これらの不動産収入については、「賃貸契約書」に基づいて支払い日が決まっています。
そして、税法上、原則として、家賃収入などについては、賃貸契約書に記載のある支払い期日に、収入として計上することになっています。
国税庁では、以下のように表現されています。
(1) 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
(2) 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日
(3) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日
出典:国税庁「No.1376 不動産所得の収入計上時期」
つまり、家賃が入金された時点で、計上するということです。
ということは、冒頭にあったように「2025年1月分の家賃が、2024年12月に振り込まれる」という場合は、この賃料を2024年分の収入として計上するということになります。
借主からの入金が遅れた場合は?
では、借主の支払いが遅れ、2024年12月に振り込まれるべき家賃が、2025年1月に支払われた場合はどうなるでしょうか。
会計処理を行うタイミングは、「契約上の支払い期日」なので、12月時点の「未収入金」として計上する必要があります。その後、回収不可能と確定した段階で「貸倒損失」として損失計上します。
実際に入金がなくても収入として計上するため、その分の税金を支払う必要があるので注意しましょう。
貸付期間に応じたタイミングで計上できる特例も
家賃収入は原則、契約書で定めた期日に収入として計上します。
そのため、先ほどの例のように、家賃が未回収であっても収入として計上しなくてはいけません。
ただし、一定の条件を満たすことで、貸付期間に応じたタイミングで計上できる特例があります。
事業的規模で不動産貸付を行っている人や、帳簿をきちんとつけている人などが対象です。
この計上方法だと、12月31日に支払われた翌年1月分の家賃は、翌年1月分の収入として計上できます。(12月31日時点では、前受収益として計上します)
出典:「不動産等の賃貸料にかかる不動産所得の収入金額 の計上時期について」
敷金や保証金はあくまでも「預かり金」
敷金や保証金は、賃貸契約を結んだ段階で支払われる一時金ですが、これは収入には計上しません。
敷金や保証金というのは、家賃の不払いに対する補填や、借主に破損汚損などを修繕するために、借主から「預かっているお金」になります。
家賃や礼金とは性質が異なっており、受け取った段階では、収入ではなく「預かり金」という負債として処理します。ただし、敷金を返済しないことが決まった時や、原状回復費用を敷金から充てると決まった時、そのタイミングで不動産収入として計上することになります。
なお、礼金については、「貸主に対するお礼金」なので、家賃と同じく収入として会計処理を行いましょう。
まとめ
家賃収入は、原則として「契約書で定められた支払日」になりますが、一定の要件を満たせば例外的な方法も認められています。税理士などの専門家に、会計を依頼している場合は、経理の簡素化につながるので、こちらの例外的な手法を取ることも多いです。
特に、「1月分の家賃を12月に受け取った」という場合は、会計上のズレが起きやすく、税務調査でも指摘されやすいポイントです。
不動産経営を始めたばかりの方や会計処理に不安のある方は、ぜひ一度、専門家集団である荒井会計事務所までお気軽にご相談ください。