会社員の不動産投資が「副業」にあたらない理由とは?
近年の潮流から、会社員の副業を許可する会社も増えてきましたが、それでもまだ多いとは言えません。会社員の人が給与以外から収入を増やしたいと考えるなら、不動産投資という選択肢も考えられます。
では、不動産投資は副業に当たらないのでしょうか? 副業にあたるのであれば、勤務先の就業規則に違反する可能性がありますが、結論から言うと、ほとんどの場合で副業にはあたりません。
そこで今回は、不動産投資がなぜ副業にあたらないのか、副業とされるのであれば、どんなケースが考えられるのか解説していきます。
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多くの会社で「副業禁止」とされている理由
2023年に行われた副業規定に関する調査※によると、副業が認められている企業は27.5%、禁止されている企業が47.5%、不明が25.0%と、約半数程度の企業では副業が禁止されています。 ※転職サービスdoda「副業の実態調査(2024年)」
企業が副業を禁止する理由には、次のようなものが挙げられます。
- 労務提供上の支障となるため
- 企業秘密の漏洩するリスクを回避するため
- 企業の名誉・信用を損なう可能性があるため
- 信頼関係を破壊する可能性があるため
- 競業により企業の利益を害する可能性があるため
本業の他にアルバイトを行っていた場合、アルバイトに従事する時間が長ければ長いほど、体力的な問題が発生し、本業に支障をきたす可能性が出てきます(労務提供上の支障になる)。また、競合他社の仕事を請け負うことで会社の利益を損害する可能性もあるので、副業が禁止されているというのが大きな理由です。
ただし、憲法においては「職業選択の自由」が定められているため、よほどのことがなければ副業は禁止できないというのが、法律上の見解となっています。とはいえ、副業禁止の会社で副業を行うには、解雇されるリスクを負うことになります。
不動産投資は副業にあたらない、とするのが一般的
副業禁止の会社であっても、不動産投資による収入はOKとしているケースがほとんどです。その理由として、以下の3つが挙げられます。
・相続など、やむを得ない場合もあるため
・不動産投資は資産運用として考えられているため
・情報漏洩などのリスクが少なく、本業への支障も少ないため
不動産投資は、相続などで親から受け継ぐケースも多く、これは本業に関わらず、やむを得ない事情として発生する可能性が大いにありえるものです。また、不動産投資で得る収入は不労所得にあたるので、副業としてカウントしない会社も多いのです。
以上のことから、不動産投資は副業とはならないのが一般的な見解です。
不動産投資が副業とみなされてしまう場合
一般的に不動産投資は副業にはあたりませんが、規模が大きいと、副業として扱われることがあります。その基準ですが、「5棟10室」で判別されることが多く、戸建ての収益物件を5棟所有している、もしくは区分所有の部屋を10室もっているという状態です。
このラインというのは、確定申告にて「不動産所得(家賃収入)が事業的規模になる」と認められる基準でもあります。個人で行う不動産投資としては、規模が大きいというわけです。
ただし、あくまでも企業ごとに見解は異なるので、どの程度までなら許可されるのかを、事前に確認しておいた方がいいでしょう。
公務員の場合はより一層、注意が必要
民間の企業に勤める会社員とは異なり、公務員は法律によって副業が禁止されています。ただし、不動産投資は許可されているので、公務員が資産形成をするにあたっては、不動産投資を選ぶ人も多くいます。公務員は社会的信用も高く、ローン審査も通りやすいことから、不動産会社もおすすめしやすい側面もあります。
ただし、公務員の人事規則において、投資する物件や、収入額の上限に関して、以下のような規定があります。
- イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
- ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
- ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
- 不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
※出典:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
つまり、「不動産投資の規模を5棟10室以下」にすること、そして「年間の家賃収入が500万円以下」であることが条件です。
また、不動産投資を行う際には、勤務先への申請・申告が必要なのにも注意しましょう。珍しいケースですが、2016年には、年間7000万円の賃料収入を得ていた消防士が懲戒処分となっています。
不動産投資をする人は確定申告が必須に
会社員であっても、不動産投資をして賃料収入を得ている場合は、確定申告が必要です。厳密には、「本業とは別に年間20万円以上の不動産所得」があれば、確定申告を行う義務が生じます。
その年の不動産所得についての申告期限は、翌年2月16日から3月15日まで。申告期限を過ぎてから書類を提出すると追徴課税というペナルティを課せられることもあるので、必ず期限までに申告するようにしましょう。
住民税を自分で納付すれば、不動産投資の収入を知られずに済む
不動産投資が副業にあたらないとは言っても、中には会社に知られたくないという人もいるでしょう。その場合は、確定申告時に「住民税の普通徴収」を選択しましょう。普通徴収とは、住民税を自分で支払うというものです。
その逆が「特別徴収」という方法で、これは従業員に代わって会社が住民税を天引きして支払うというものです。そのため、会社に住民税の税額が知らされることになり、給与に対する住民税よりも金額が多いと、他での収入があるということが知られてしまいます。
まとめ
副業禁止の会社に勤めていたとしても、不動産投資は基本的に副業扱いにはなりません。公務員であっても取り組むことができる資産形成の一つです。
ただし、賃料収入が発生している場合や、不動産を売却して収入を得た場合は、確定申告の必要があるので注意して行いましょう。
会社に勤めながら不動産投資を行おうと考えている人、確定申告に不安がある人などは、ぜひ一度、専門家集団である荒井会計事務所までご相談ください。
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