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2025年6月10日 不動産コラム 不動産固定資産税小規模宅地などの特例相続相続登記の義務化相続税確定申告空家

空き家を相続した際にかかる税金と、注意する点

以前から社会的な課題として指摘されている「空き家問題」
高齢化によって全国的に空き家の数は増え続けていますが、空き家を放置すると地域の治安に悪影響を及ぼすことから、その管理責任が厳しく問われるようになってきました。

日本全体にある空き家のうち、ほぼ半数がすでに相続によって次世代に所有権が移っていると言われています。
しかし、古い物件だと登記情報が曖昧なことから、その実数は定かではありません。
そこで政府は、2024年4月から「相続登記の義務化」を施行。
所有者不明の不動産を減らす政策を打ち出し、空き家対策に取り組んでいます。

今後、団塊世代が高齢化していくことから、ますます空き家の相続が増えていくことでしょう。
そこで今回は、空き家を相続した場合に考えなくてはいけない点について整理していきます。

「相続登記の義務化」とは

空き家をはじめ、不動産を相続したらまず対応すべきなのが「相続登記」です。
相続を知った日から3年以内、遺産分割協議があった場合には協議が成立した日から3年以内に、登記を済ませる必要があります。

正当な理由もなく相続登記を行わないままでいると、10万円以下の過料が課せられる可能性があるほか、その土地は「所有者不明土地」なるので売却に大きく不利になります。
手間のかかる作業ではありますが、早々に対応しておく方がいいでしょう。

この法律が施行されたのは2024年4月1日ですが、それ以前に相続した不動産も、この法律の対象になります。
ですので、万が一、登記が済んでいない相続不動産がある場合には、早急に登記しましょう。

空き家の相続には、相続税が発生する

相続で空き家を受け継いだ場合には、その他の相続財産と同じく、相続税を支払う義務があります。
ただし、相続税には【3,000万円+600万円×法定相続人の数】の基礎控除枠があるので、その金額を下回っている場合には、相続税は発生しません。

空き家を含む不動産を相続した場合には、土地と建物それぞれで「相続税評価額」を算出し、ほかの相続財産と合算して、課税対象額を決めることになります。

小規模宅地等の特例

仮に、課税対象額が【3,000万円+600万円×法定相続人の数】の基礎控除枠を超えていたとしても、この特例を使えば、税価格を計算する際の評価額を最大80%減額することができます。
対象となるのは「被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業用又は居住用の宅地などがある場合」かつ、面積や土地の用途によって要件が決まっています。

空き家を所有することで発生する、固定資産税

不動産を相続した場合、引き継いだ不動産には毎年、固定資産税が発生します。
空き家に限らず、不動産を相続した人でよくあるのが、固定資産税の支払いを忘れてしまうというケース。
とくに、遠方にある土地を引き継いだ人に多いようです。

なお、不動産であれば必ず固定資産税が課せられますが、戸建てやマンション・アパートなど、人が住むための土地に対しては、税額が大きく減免されます。
これを「固定資産税の住宅用地特例」と言います。

空き家に関して言えば、「現時点では人が住んでいない住宅地」と考えるので、基本的にはこの特例が適用されることになります。

「特定空家」に指定されると、優遇措置は失われる

引き継いだ空き家を管理せず放置した結果、「老朽化が進み倒壊の危険性がある」あるいは「衛生上の問題を引き起こしている」と行政に判断されると、「特定空家」に指定される可能性があります。
この「特定空家」に指定されると、固定資産税の特例は取り消されてしまいます。

特例が取り消されると、固定資産税は6倍程度に跳ね上がることになります。
なお、自治体によって「特定空家」の基準が異なっており、場合によっては、所有者の許諾なく指定されることもあります(自治体からの通知を再三無視していると判断された場合など)。

さらに、2023年の法改正では、これに加え「管理不全空き家」という新たな定義も登場しました。
1年以上、誰も住んでいない状態の家で管理が不十分であり、今後もそのままの状態だと特定空き家に指定される恐れのある空き家が対象です。
特定空家の前に一段階設けることで、所有者に対して管理強化を促す意図があります。

まとめ

空き家の相続には、登記をはじめ、相続税・固定資産税といった税金関連のやるべきことが発生します。
これから日本国内では、団塊世代を中心に高齢化が進んでいくため、地方から順に空き家の数が増えていくことがほぼ確実視されていますが、それに伴って空き家の相続も当然ながら増えてきます。

ある民間企業の調査によると、「相続後に故人が居住していた家が空き家になった」と回答した人が約25%もいますが、これも結果的には空き家の相続とほとんど対応は同じです。
登記後に空き家になった場合も、固定資産税の支払いはありますし、適切な管理をしなければ特定空家に指定されるリスクもあります。

いよいよ身近になってきた空き家問題。いざという時に慌てないよう、事前に知識をつけておきましょう。

不動産を相続する予定のある方、または、相続した不動産が空き家になる可能性のある方は、不安になる前に、専門家集団である税理士法人荒井会計事務所にぜひご相談ください。

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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