借地権付き不動産を相続したらどうなる?

不動産を相続する際には建物だけでなく土地も含まれている場合が一般的ですが、中には「借地権付き不動産」を相続するケースもあります。
「借地権」とは、他人が所有する土地を借りて、その上に建物を建てる権利のことです。
では、借地権付き不動産を相続した場合、どのような手続きや注意点があるのでしょうか?
今回は、借地権の基本から相続後の流れ、よくあるトラブルや回避する方法について紹介します。
借地権とは?

「借地権」とは、建物をたてることを目的に、地代を払ってある土地を第三者から借りる権利のことです。
通常、家を購入するときには土地と建物を同時に購入するのですが、なかには「借地権付き」として販売されている物件があります。これは、土地は第三者所有のまま、その上に建てられている建物だけ買うことができるというものです。
土地を購入しないで家を買うということなので、相場の6〜7割程度の価格になっていますし、土地に対する固定資産税・都市計画税を支払う必要がない点がメリットです。
一方、土地の所有権は第三者のままなので、その人に対して地代を払う必要があり、また、建物を取り壊して更地にした上で返還しなくてはならない、といったデメリットもあります。
借地権には、主に以下の3種類があります。
普通借地権
期間は最低30年以上、契約更新可、更地にして返還する義務があるが地主に建物を買い取ってもらうこともできる
定期借地権
期間は50年以上が多い、契約満了後は更新不可、更地にして地主へ返還する義務あり
旧借地権
1992年7月以前の契約が対象。契約更新可。
借主が望めば半永久的に借り続けることができる。
木造などの非堅固建物の場合、期間は最低20年。鉄骨造・鉄筋コンクリートなどの堅固建物だと期間は最低30年。
借地権付き不動産を相続する場合、基本的にこの借地権がそのまま相続される形になります。
参照:国税庁「No.4611 借地権の評価」
借地権付き不動産を相続したらどうなる?
借地権付き不動産を相続した場合、通常の不動産相続とは異なる点がいくつかあります。
「借地権」自体が相続税の課税対象である
借地権は「財産」として相続税の対象になります。
・建物が建っていて、それを所有していること
・地代を払っていること(使用するための賃借契約ではないこと)
この条件を満たした契約は借地権となりますので、相続時には税務署に申告する必要があります。
相続時、地主への通知は不要
相続により借地権を継承した場合、法律上は地主の許可・承諾は必要ありません。
ただ、相続した建物の名義変更をしなくてはいけないため、そのタイミングで地主に通知するケースが多いです。
遺産分割協議中でも地代は発生する
誰が相続するのか決まっておらず、遺産分割協議が長引くということはよくあります。
ですがこれは地主には関係のないことなので、その期間も地代は発生します。
相続の対象に「借地権付不動産」があることが分かったら、まずは契約書で地代と契約期間を確認し、支払いに滞りがないようにしましょう。
借地権付き不動産を相続した場合の注意点

借地権を共同所有するのは危険
建物や借地権についても、一般的な土地付き物件と同じく相続人間で共同所有することができますが、これはトラブルの元になるので避けた方がいいでしょう。
売却や建て替えなどの重要な意思決定には所有者全員の同意が必要ですし、さらに次の相続で共有者が増える恐れもあります。借地権付き建物だけに限ったことではありませんが、不動産はなるべく単独名義で相続しましょう。
契約期間をきちんと把握する
借地権には契約期間が定められています。特に「定期借地権」の場合は、契約満了後に更地にして返還しなければならないため、解体費用なども準備しなくてはいけません。
場合によっては、相続してすぐに契約が満了してしまうこともあり得ますので、まずはきちんと契約期間を確認しましょう。
建物の増改築には地主の承諾が必要
借地権の契約には、「増改築の際には地主の承諾を得ること」という条項が含まれていることが多いです。無断で建て替えや改築を行うと、トラブルの原因になるため、事前に契約書を確認し、地主の許可を得るようにしましょう。
相続ではなく「遺贈」だと、地主の許可が必要
例えば、あなたの叔父から借地権付き不動産を譲ってもらう場合や、故人が遺言書などで指名した人が法定相続人以外だった場合などは、相続ではなく「遺贈」になります。
遺贈によって借地権を得る際には、地主の承諾が必要になります。
借地権付き不動産を売却する際の注意点
借地権付き物件は、通常の不動産に比べると売却時にいくつかのハードルがあります。
売却時に地主の承諾が必要
借地権を第三者に売却する場合、基本的に地主の承諾が必要となります。
また、地主から承諾を得る際には「承諾料(名義書換料)」を支払うことが一般的です。
買い手が見つかりにくい
借地権付き不動産は土地の所有権がないため、購入時には金融機関の住宅ローンを利用しにくい傾向があります。つまり、購入希望者がいても、住宅ローン審査が通らなかったために売却できなかった、というケースがあり得ます。
まとめ

借地権は個人の重要な資産です。
そのため借地付き物件も、そのほかの資産と同じく相続が可能です。
相続が発生した際、まずはじめに注意するべきは「契約期間と地代の確認」です。
もし、遺産分割協議などで相続の時間がかかることが想定される場合でも、地代を滞りなく支払う必要があります。
また、この物件を売却する場合には、地主の承諾が必要になるなど、通常の不動産より若干不利になることを知っておきましょう。
借地権付き不動産の相続は、通常の不動産と比べて手続きが複雑になりやすいため、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
もしお困りの場合は、専門家集団である税理士法人荒井会計事務所までご相談ください。