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2024年8月8日 不動産コラム 2025年問題不動産対策登記相続空き家立地適正化計画

不動産の2025年問題とは?不動産市場への影響と対策について解説

「2025年問題」をご存知でしょうか? わが国は超高齢化社会に向かって突き進んでいますが、その一つの節目として2025年が注目されています。団塊の世代の多くが75歳を迎えるタイミングで、医療や介護といった社会保障のほか、事業承継や相続、不動産にも大きな影響を与えると言われています。

今回は、2025年問題が不動産業界にもたらす影響と、その対策について解説していきます。

「2025年問題」とは? 日本が直面する社会的な課題

日本においてかねてより問題視されている人口の高齢化ですが、2025年にはついに「3人に1人が65歳以上」「5人に1人が75歳以上」という超高齢化社会の入り口に立つことになります。

団塊の世代である1947年〜1949年生まれの人々が75歳以上になるという節目を迎え、社会的にも大きな転換点になるとされています。

資料:内閣府「令和5年版高齢社会白書

労働者人口の減少による人手不足、医療費・介護費といった社会保障費の増大、中小企業の後継者不足など、2025年問題ではさまざまな社会問題が浮き彫りになると言われているので、各業界では少しずつ準備を進めてきました。

不動産業界における2025年問題の影響

人口の多くが高齢者となることで、不動産価格の変動や、相続の増加など、不動産業界にも影響が及んでくるでしょう。さらに法律が改訂されたことも相まって、以下のような問題が起こると考えられています。

1. 空き家の増加

日本の高齢化が進むにつれて、住む人がいなくなった家が増えてきます。家主が亡くなる場合もありますし、高齢者住宅や子どもの住む家への転居もあって、空き家の件数は加速度的に増加しています。

ある研究によると、2033年には「全住宅の3軒に1軒が空き家」になるとも言われており、空き家問題はかなり深刻な状態です。少子化によって住宅の需要は減っていくので、不動産市場が値崩れする可能性が高まっていくということです。

空き家が増えると不動産市場が崩れるほか、地域の治安や景観を悪化させるため、周辺地域の不動産価値をさらに引き下げる要因にもなります。

2. 不動産相続の増加

当然ながら、高齢者が増えるということは死亡する人も増えていきます。不動産を所有している人が亡くなると、その不動産は「相続」という形で配偶者や家族に引き継がれますが、必ずしも相続した人がその不動産に住むとは限りません。

特に子どもが相続した場合、すでに別の場所(都市部など)に生活拠点があるなどで、相続した不動産を管理できないという事態が発生します。管理ができないのであれば売却することになりますが、これも空き家のケースと同じく、需給バランスが乱れて不動産価格が下落するリスクがあります。

また、2024年には相続登記が義務化されました。これまで相続登記は任意だったのですが、さまざまな理由によって登記を行わない人が多く、所有者がわからない土地が増えたことで法整備がなされました。これにより相続登記をする人が増えるのですが、持ち主がはっきりするため、売却する人が増えるだろうと考えられています。

3. 立地適正化計画による不動産価格の下落リスク

進みゆく高齢化社会に備えて、国や自治体では「立地適正化計画」が推進されています。立地適正化計画とは、生活に必要な施設(医療・福祉・子育て支援・商業施設など)をある一定の場所に集合させ、都市機能をコンパクトにするものです。

資料:国土交通省「立地適正化計画の意義と役割

これによって、都市の中心部や、特定の地域の不動産需要は高まりますが、計画から外れた地域の不動産価格は下落するリスクがあります。逆に、計画の枠内に位置する不動産については価格が上昇する可能性が高いとされています。

2025年問題にどう対策すべきか?

2025年問題は、高い確率で不動産業界に大きな影響を及ぼしますが、どのように対策をしたらいいのでしょうか。

ひとことで対策と言っても、すでに不動産を持っている人、これから購入を予定している人、相続で不動産を引き継いだ人・その予定がある人など、それぞれの立場にとって考えるポイントは異なります。

これから購入を予定している人

2025年問題があるからといって、2025年になったらすぐに不動産価格が下落するのかというと、そうではありません。むしろ都市部や人気の地方都市では、価格上昇が続いているのが現状です。

また、金利の上昇リスクも見逃せなくなってきました。これまで十数年にわたって続いてきた、住宅ローンの超低金利時代は終わってしまう可能性が出ています。

こうした外部要因を総合すると、都市部での不動産購入を考えている人は、あえて2025年まで待つ必要はないでしょう。一方、地方での購入を考えている人は、周辺の土地価格をチェックしながら機を伺ってもよいかもしれません。

これから売却を予定している人

自分で購入した不動産または相続した不動産があり、売却を考えているのであれば、早めに動く方が良い可能性があります。特に、地方に住んでいる親の不動産を相続し、そこを売却したいのであれば、土地価格が下がってしまう前に対策することをおすすめします。

都市部にある土地や人気のマンションなど、買い手がすぐにつきそうな物件であれば急ぐ必要はありませんが、そうでないのなら、時間がかかるのを見越しておく必要があります。

現在、不動産の売却には早くても半年〜1年程度かかるのが一般的です。空き家などが増え、供給過多になればその期間はどんどん延びることになります。所有する不動産の人気度を予測して、適切なタイミングで動けるように準備しておきましょう。

まとめ

2025年問題は、超高齢化社会における社会的な課題です。不動産市場においても例外ではないので、じわじわと私たちの生活にも影響してくるはずです。

空き家や相続などで売却される住宅が増えるため、日本全体で見ると不動産価格は下がる可能性が高いと言われていますが、それもまたはっきりとは言えないのが実情です。最近は円安で建材が高騰していますし、労働人口が減れば人件費が上がるので、新築の価格が上がり、ひいては不動産市場全体的に価格が高騰するという読みもあります。

とはいえ、地方の戸建てや不動産については、売却の難しさが確実に高まるでしょうから、そうなることが予想されたら早めに専門家に相談することをおすすめします。

不動産購入・売却のタイミングにお悩みの方は、専門家集団である荒井会計事務所に、ぜひ一度ご相談ください。
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この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
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