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2023年7月14日 不動産コラム デメリット相続空き家

空き家を放置しておくことのデメリットとは?

近年、「空き家の増加」が社会問題として
取り上げられることが増えてきました。

親や祖父母、遠縁の親戚などからの相続がきっかけで
空き家を所有することになったという人が多いですが、
その後どうしたらいいのか分からず
そのまま放置しているケースも散見されます。

しかし、空き家を放置していると、
さまざまなデメリットが生じるので、
早急に対処することが必要です。

今回は、空き家を放置しておくことで起こる問題について
説明していきたいと思います。

問題視される空き家と、そうでない空き家

空き家とは、「現在人が住んでいない住宅」のことを指しますが、
売却用の空き家、賃貸用の空き家、
別荘などの二次的使用の空き家であれば
誰かが管理している可能性が高く、危険性は低いものとして扱われます。

対して、使途が不明で、定期的な利用がされていない空き家
そのまま放置される可能性が高いとして、
問題視されることになります。

空き家が危険視される理由

適切な管理がなされず、放置され続けた空き家が
社会問題とされる理由は、その危険性にあります。

近隣住民の安全をおびやかす、悪影響を与える

長年放置された空き家は、
劣化が進んで崩壊・倒壊の危険性が高くなります。

屋根や外壁が脆くなって崩れたり、
家自体が倒壊してしまう可能性があるわけです。

また、悪臭の原因となったり、
ねずみや野良猫の繁殖につながるなど、
近隣住民の住環境にとって悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

犯罪リスクの増加

放置された空き家というのは、人の目が届かないので
犯罪の温床となるリスクがあります。

庭や屋内へのゴミの不法投棄や、
不審者の出入りといったことです。

また、火災の原因のうち
10分の1が「放火」または「放火疑い」なのですが、
空き家はターゲットにされやすい傾向にあります。

空き家が火元になってしまうと、
通報の遅れ、消火活動の遅れに直結するので
被害が大きくなりやすいとも言われています。

空き家を放置することのデメリット

近隣住民や地域にとって、空き家が迷惑な存在であることは
お分かりいただけたと思います。

それだけではなく、所有している人にとっても
デメリットが大きいのが空き家です。

次に、所有している空き家を放置していることで生じる
デメリットについて見ていきましょう

固定資産税、都市計画税の支払い義務が生じる

土地などの不動産は、そこに住んでいようがいまいが
所有している限り税金を支払う義務が発生します。

空き家の場合だと「固定資産税」と「都市計画税」を支払わなくてはいけません。
固定資産税だと評価額の1.4%
都市計画税だと評価額の0.3%を毎年支払う必要があります。

  • 固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
  • 都市計画税=固定資産税評価額×0.3%

今回は「空き家」についての説明なのでこの数値ですが、
仮に「使っていない更地」がある場合、
居住用とは見なされないので、税金はこれより上がります。

維持費や修繕費が発生する

空き家であっても、維持するにはある程度の費用がかかります。

除草や清掃費用のほか、リフォームをして賃貸に出す、
売却に出すということになれば修繕費がかかり、
家を潰して更地にするのであれば、解体費用がかかります。

住宅というのは、人が住まなくなると急速に劣化が進みます。
リフォームをするなら早いうちにやってしまうのが
費用を抑えやすくなりますから、
やはり放置しておくのはデメリットになります。

周辺地域を含めて資産価値が低下する

状態の悪い空き家が存在するというだけで、
近隣不動産の価値を下げてしまうことも考えられます。

空き家は悪影響を及ぼすリスクが高いと判断されるため、
周辺の不動産を買い控えようとする心理が働くためです。

これは近隣住民、所有者の双方にとってデメリットとなります。

いざ売却しようと思った時に、
周辺の地価が下がってしまっていては、
所有者としても困るということですね。

政府・自治体は空き家対策を本格的に開始

政府は、5年に一度、
不動産に関する大規模な実態調査を行っています。

発表によると、空き家はこの30年間で2倍以上に増えています。

出典:政府広報オンライン

増え続ける空き家対策として、2015年には
空家等対策の推進に関する特別措置法を施行しました。

この法律では、空き家の実態調査を定期的に行うことや、
空き家の所有者に対して適切な管理の指導を行うこと、
管理されていない空き家を「特定空家」に指定して、
勧告・指導・命令などを行うことができると定めたものです。

つまり、空き家に対する実態調査ならびに
行政が対応できる行動の幅を設定したものです。

浦安市・市川市の空き家実態について

空き家の実態調査は、自治体ごとにも行われています。

例えば浦安市では、市内にどれだけ空き家があるのかを
調査員を派遣して現地調査を行っています

調査対象となった529件のうち、生活している様子がなかった162件を
「空き家候補」として洗い出しました。
※出典:浦安市空家等実態調査報告書

浦安市内でもっとも空き家が多かった地域は猫実、
次に多かったのが堀江と当代島
で、
空き家が0となっているのは千鳥、港、明海でした。

住宅が密集している元町地域は、
他の地域よりも空き家が多いということなのでしょう。

市川市でも、市の重要課題として
空き家問題が議会で取り上げられています

市川市内で推定5000棟程度が空き家とされていますが、
その使い道についても、自治体や住宅系団体の支援が必要だとして
今後も議論が進められる予定
です。
※市川市 令和4年度 第1回市川市空家等対策協議会 会議録

まとめ

空き家を所有しているけれど、
面倒だからという理由で放置してしまうのは
所有者にとっても、近隣住民にとってもデメリットしかありません。

もしも活用できていない空き家がある場合は、
賃貸に出す、売却する、相続を放棄する、など
早急に対策を取る必要があります。

最近では、シェアスペースとして貸し出したり、
民泊として活用したりなど、利用方法も増えています。
どうにか活用を、とお考えの際は、ぜひ一度お問い合わせください。

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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