コラム不動産コラム
税理士法人荒井会計事務所 > コラム > 不動産コラム > 共有名義での不動産相続はトラブルの元? メリット・デメリットとリスクについて解説
2025年2月20日 不動産コラム 不動産不動産売却代償分割共有名義単独名義相続

共有名義での不動産相続はトラブルの元? メリット・デメリットとリスクについて解説

不動産を所有している人が亡くなると、その不動産は相続の対象となります。
そこで問題になるのが、その不動産を誰が相続するのかということ。

2人以上の相続人がいて不動産が1つしかないという場合、「共有名義」として複数人が名義人となることがあります。

共有名義として不動産を相続することは、一見、公平な資産分配方法のようにも思えますが、長期的にはさまざまなリスクや課題があります。

そこで今回は、共有名義で不動産を相続する際のメリットとデメリット、注意点について解説していきます。

共有名義による相続とは?

不動産などの資産を複数の相続人が共同で所有することを、共有名義による相続といいます。

当人たちの協議によって、誰がどのぐらい権利を持つのかという「持分」を決め、それぞれが持分だけの不動産を保有することになります。

現金や預貯金とは違い、不動産は簡単に分割することができません。そこで、共有名義として複数の相続人が受け継ぐということがあるのです。

不動産を共有名義にした場合、共有者全員がその不動産を持っていることになるので、賃貸や売却に出すといった重要な決定は全員の同意が必要になります。

共有名義で相続するメリット

共有名義での不動産相続は、珍しいことではありません。

のちに説明しますが、デメリットやリスクが大きい一方、メリットもあります。

相続人間で公平な資産分配ができる

最大のメリットは、相続人同士での不公平感がなくなることです。

法定相続割合にもとづいて遺産分割を行う場合、預貯金・有価証券・不動産といった資産の種類には関係なく、相続される資産の金額が平等になるようにします。

ところが、相続する資産が不動産しかなく、さらに1つしかないといった場合には、誰か1人が相続してしまうと不公平になります。

そこで共有名義だと、不動産を分割せずとも平等に相続できるので、お互いの中で納得感が得られるケースが多いのです。

共有名義で相続するデメリット

意思決定の複雑化

共有不動産の売却や、賃貸に出すなどの重要な決定には、共有者全員の同意が必要です。

このとき、意見の対立が起こることもしばしばで、そうなると話し合いをしなくてはならず、意思決定に時間がかかってしまいます。

その結果、売却や賃貸のタイミングを逃してしまうリスクもあります。

管理責任の分散

共有名義の不動産では、1つの不動産を複数人で管理することになります。

先ほどの意思決定の問題と同じく、維持管理の方針や、修繕費用をどれだけ負担するかなどで、トラブルが起こりやすくなります。

相続人が亡くなると、さらに権利関係が複雑になる可能性が

共有名義を持っている人が亡くなった場合、その持分の不動産は、その人の相続人に相続されます。

仮に、この相続でも共有名義がされた場合は、名義人がさらに増えることになります。

時が経つにつれ共有者がどんどん増え、縁も徐々に遠くなっていくので、全く知らない人や会ったこともない親戚と共有名義になっている、ということも大いに可能性があります。

共有者の数が多く、さらに縁遠いとなると、売却や賃貸などにおける意見の一致がより一層難しくなってきます。

共有名義を避けるには?

一般的に、不動産を相続するにあたって、共有名義はデメリットやリスクが多いと言われています。

できれば避けたいものですが、やはり相続が発生してからだと相続人同士の折り合いをつけるのが難しいのも現実です。

そこで、相続が発生する前にいくつか対策を練っておくことが大切です。

単独名義にすることを明言しておく

不動産の所有者と相談し、相続が発生した場合には共有名義にしないことを明言しておくことが大切です。

それはつまり、相続人のうち誰か1人が単独で相続をするということ。

これによって共有名義の問題は解決できますが、もちろん他の相続人にもバランスよく遺産分割を行わなくてはいけないので、不動産も含めた財産の総数・総額を確認し、誰にどの程度の資産を相続するのか計画しておく必要があります。

土地を分筆し、それぞれを単独名義にする

相続人の資産が不動産だけしかなく、不動産以外に相続できる資産がないというケースもあります。

この場合は、土地を分筆して、分けた土地を相続人がそれぞれ単独名義で所有する方法を取ることができます。

ただ、分筆によって土地が狭くなるので、その後の土地活用に支障をきたす可能性もあります。
分筆したことで評価額が下がることもあるので、専門家に相談しながら慎重に検討しましょう。

不動産を売却し、売却益を分配する

相続した不動産を売りに出し、売却で得た現金を相続人で分配する方法もあります。
現金で分配されるので、こちらも公平感が得られやすいです。

ただし、不動産はすぐに売れるとは限りません。いつ現金化できるかは不確定なのです。
また、人気がない立地であれば、残念ながら買い手がつかない可能性もあります。

代償分割を行う

一人の相続人が不動産を取得し、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。

第三者に不動産を売却する手間も省けますし、相互の納得感が高い解決策の一つですが、代償金を支払う側の相続人に十分な資金力が必要だという点がネックです。

また、金額や支払い方法について揉めるケースがあるので、専門家に立ち会ってもらいながら話し合いを進めることがおすすめです。

参照:国税庁「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算

まとめ

すでに、相続によって共有名義の不動産があるという人は、なるべく早急にこの状態を解消した方が良いでしょう。

特に、相続人が亡くなってさらに相続人が増える、という「権利関係の複雑化」が進んでしまうと、その不動産はどんどん身動きが取れなくなってしまいます。
こうした面倒な状態を避けるためにも、不動産は単独名義がおすすめです。

とはいえ、なかなかスムーズに行かないのが相続ですので、今後、共有名義相続の可能性がある場合や、現在の共有名義不動産をどうにかしたいとお悩みの方は、ぜひ、専門家集団である税理士法人 荒井会計事務所にご相談ください。

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
初回相談は完全無料です。