浦安市の空き家支援制度とは?賢い活用法と使い方について解説
前回のコラムでは、市川市の「空き家関連施策」について紹介しました。
お隣の浦安市でも同様に、空き家問題に対応するためにいくつかの制度や支援策を設けています。
前回も書いた通り、空き家が放置されると、建物の老朽化や不法投棄の原因となり、地域住民の生活環境に悪影響を与える可能性があります。
そのため、各自治体ではここ数年から本格的に空き家問題に取り組んでいるという背景があります。
今回は、浦安市の空き家に関する取り組みと、使える補助金やサービスを解説していきます。
浦安市の空き家対策の背景
浦安市は、千葉県内でもっとも東京都に近い場所にあります。
都心への交通アクセスがよいということから、人口が急激に増え、住宅需要がとても高い街として成長してきました。そのため、浦安市の戸建て空き家率は千葉県内でも一番低いのですが、今後の街づくりを考える上で空き家の対策は重要課題だとして、市でもさまざまな取り組みを進めています。
浦安市「空き家対策の基本方針」
浦安市では、空き家対策を進めるために「浦安市空き家等対策計画」を策定し、具体的な方針を示しています。この計画では、以下の3つの目標を掲げています。
空き家の適切な管理の促進
空き家が放置されることなく、所有者が適切に管理できるようにすることが目的です。
市は所有者に対して定期的な点検やメンテナンスを行うよう促し、老朽化やトラブルが発生しないように努めています。
空き家の有効活用の促進
空き家を取り壊すだけでなく、賃貸物件やシェアハウス、地域の集会所などに再利用できるよう、活用の幅を広げることを目指しています。
これにより、空き家が新たな地域資源として活用されることが期待されています。
特定空家の解消
「特定空家」とは、適切に管理されておらず、地域住民の生活環境に悪影響を与える可能性のある空き家のことを指します。こうした空き家については、所有者に対して改善や解体を求め、市が積極的に対応することで、安全で快適な生活環境を守ることを目指しています。
浦安市の空き家に関する支援制度は?
もともと、浦安市には空き家が少なく、問題があるとされている空き家は現在約100戸だと言われています。そのため、他の市だと「空き家除却費用の補助金」などがありますが、浦安市にはそれがありません。
ただ、中古物件を購入して新たにリフォームする・木造住宅を長く住めるようにするための調査などには、補助金が設けられています。
木造住宅耐震診断助成制度
住宅や建築物の耐震化を進めるための補助金です。木造住宅においては、耐震診断と耐震改修にかかった費用の一部が浦安市から補助されます。
補助の対象となるのは、昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた建物で、耐震診断にかかった費用のなんと9割(最大12万円)を受け取ることができます。
木造住宅耐震改修助成制度
耐震診断によって、耐震性能に問題があるとわかった場合、耐震リフォームをすることになりますが、その費用の一部が補助されるという制度です。設計、管理、工事費それぞれ、約半額が支給されます。
・補強設計にかかった費用の2分の1の額(限度額4万円)
・工事監理にかかった費用の2分の1の額(限度額6万円)
・工事費にかかった費用の2分の1の額(限度額110万円)
木造建築物などの除却に対する補助金
これも空き家に限定されたものではありませんが、国に指定された密集市街地にある古い木造住宅で、耐火性能が低い場合は、除却するのにかかる費用を市が補助してくれます。
千葉県内で唯一「地震時等に著しく危険な密集市街地」に指定されているのが、堀江〜猫実周辺のエリアで、この範囲にある木造住宅は取り壊しに補助金が出る可能性があります。
補助金は最大50万円です。
浦安市の空き家を探すには?
もともと数が少ない浦安市の空き家ですが、国から依頼された業者が運営する「空き家バンク」を使えば、運良く見つけることができるかもしれません。
空き家バンクとは、空き家の所有者と利用希望者をマッチングするサービスで、これを使えば、空き家を探している人や事業者が、条件に合う空き家を見つけることができます。
空き家対策に対する今後の取り組みは?
浦安市では、空き家問題の解決に向けて引き続きさまざまな取り組みを進めていく予定です。
現在は、補助金や活用支援を中心とした対策を行っていますが、将来的にはさらに多くの人が空き家を活用できるような制度を充実させることを目標としているようです。
地域住民や大学生など若い世代と連携し、空き家を活用した地域イベントやコミュニティスペースの設立など、新たな取り組みも検討されています。
浦安市で空き家問題が顕在化するのは、そのほかの地域よりも先のことになるだろうと言われていますが、問題が増えてから対応するのでは遅いので、「浦安市空家対策協議会(仮)」の設置を検討し、千葉県内の他の自治体と共同で空き家対策について情報収集を続けています。
まとめ
千葉県内で、もっとも空き家が少ない浦安市ですが、5年後の令和11年(2029年)を境に市の人口が減少するという調査もあります。高齢化も進んでいきますので、今後は空き家が増えることも想定して街づくり計画しています。
空き家を持つ人や、空き家を活用したいと考えている人は、浦安市の空家対策窓口などで情報をチェックし、今現在何ができるのか検討することをおすすめします。
浦安市・市川市で、不動産や不動産に関わる税金についてお悩みの方は、ぜひ一度専門家集団である税理士法人荒井会計事務所へお気軽にご相談ください。