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2023年1月31日 不動産コラム 2023年不動産所得家賃収入確定申告経費

家賃収入・不動産所得がある人の確定申告の基礎知識

 2023年の確定申告期間は、2023年2月16日から3月15日までの1カ月間。
昨年までは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、申告期限が4月までに延長される措置が取られましたが、今年はそうした発表はありませんので、通常通りの申告期間となりそうです。

 今回は、家賃収入(不動産所得)がある場合の確定申告について説明していきます。

家賃収入がある人は確定申告が必要?

 不動産オーナーとして家賃収入を得ている場合、基本的には確定申告が必要です。

 自分が所有している土地や建物を貸して得た所得を「不動産所得」と言います。家賃収入は、もちろん不動産所得にあたります。他にも、地上権や船舶・航空機を貸して得た所得も不動産所得となります。

 「所得」とは、総収入金額から必要経費を差し引いた、残りの金額のことで、この金額に所得税がかかる、というわけです。

 確定申告は、年間の総所得を自分で計算して、税務署に申告するというものです。不動産所得がある人は、不動産で得た賃料などの収入と、それに関連して生じた必要経費を計算する必要があります。

 ただし、得られている収入が少ない場合など、確定申告が不要なケースもあります。

不動産所得が20万円以下の場合は確定申告が不要

 会社員として働いていて、不動産オーナーである場合、不動産所得(家賃収入から必要経費を引いた額)が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
ただし、投資やそのほか、給与以外で得た所得と、不動産所得を合計して20万円を超える場合は確定申告が必要なので注意しましょう。(なお、会社員として働いていても、給与所得が2,000万円を超える人はそもそも確定申告が必要です)

 また、不動産所得を含めたすべての所得(給与なども入れて)が48万円以下の場合は、そもそも確定申告は不要です。

確定申告が不要でも、申告することでお得になるケース

 不動産所得が20万円以下であっても、確定申告をした方が良い場合もあります。
例えば、事業として不動産事業を行っている、個人事業主やフリーランスの人が、不動産事業で赤字を出している場合です。

 「損失申告」と言って、事業として赤字を出した分は、3年間、赤字を繰り越すことができる制度です。申告の義務はありませんが、次の年に収益を上げたとしても、赤字を繰り越すことで所得を相殺することができます。

家賃収入のある人が、確定申告で提出する書類

 家賃収入をはじめとした不動産所得がある人は、通常の確定申告書の他に、「不動産所得用」の書類を使って申請する必要があります。

 白色申告の場合は「収支内訳書(不動産所得用)」、青色申告の場合は「青色申告決算書(不動産所得用)」を使います。
 詳しくは、こちらのコラム【2023年確定申告】不動産所得がある場合に必要な書類を解説)で紹介しているので参考にしてください。

家賃収入として申告対象になるもの

 家賃収入とは、文字通り「所有している不動産(土地や建物)を貸し付けることで得られる賃料収入」のことです。マンションの一室を貸して得た賃料はもちろん、以下の収入も「家賃収入」になります。

<家賃収入にあたるもの>

  • 礼金
  • 更新料
  • 管理費
  • 名義の書き換え料、承諾料
  • 共益費などの名目で受け取った水道代、電気代など
  • 敷金や保証金のうち、返還しない分

参照:国税庁(No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得))

 「敷金」「保証金」の扱いも少し注意が必要です。

 入居時に受け取った敷金・保証金は、入居者に債務不履行がない場合、入居者に全額返金されます。ただし、債務不履行や敷金償却などにより一部、または全部を返還しないとなると、返還しないと確定した日に、その金額を収入に計上する必要があります。

参照:国税庁(No.1376 不動産所得の収入計上時期)

確定申告で経費として申請できる項目

 不動産所得を計算するためには、必要経費を洗い出しておかなくてはいけません。

 ここでは、どの費用が経費として計上できるのかを説明します。

不動産所得のなかで経費になるもの

  • 租税公課(不動産取得税、登録免許税、印紙税など)
  • 固定資産税、都市計画税
  • 保険料(火災保険料、地震保険料、施設賠償保険料など)
  • 建物の維持費(管理費、共益費、修繕費など)
  • 減価償却費
  • 借入金の利子部分(住宅ローンなどの利子)
  • 管理会社への代行手数料、税理士・弁護士などへの依頼料
  • 広告宣伝費
  • その他経費(賃貸契約に関わる交通費、水道光熱費など)

 「建物の維持費」に関しては、あくまでも維持することを目的としてかかった費用に限られます。古くなった設備や、建物の損壊部分を修理する、といったことです。断熱性を高める、耐震性を高める、といった建物の価値そのものを向上させるリフォームや、フルリノベーションについては、固定資産税の対象になります。

不動産所得のなかで経費にならないもの

 不動産所得を計算する上で、以下の項目については経費として扱えません。間違えやすい項目なので注意しましょう。

  • 借入金のうちの「元本分」
  • 所得税、住民税の支払い
  • 個人使用との判断が難しいもの

 先ほど、経費として扱えるものの中に「借入金の利子部分」を挙げましたが、「元本分」に関しては経費として扱うことができませんので注意しましょう。

不動産オーナーが確定申告をする際のポイント

青色申告を行う

 青色申告は、個人事業主やフリーランスの方が行うものと思われがちですが、不動産オーナーにもメリットがある制度です。青色申告をする場合、不動産所得の金額から65万円、または10万円を上限として特別控除を受けることができます。

 いくつか条件はありますが、「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出することになります。申請書は各税務署で入手できるほか、WEBサイトでもダウンロードすることができます。

経費として計上できる分はきちんと計上する

 貸し付けている物件の固定資産税や都市計画税、火災保険料などは経費として忘れずに計上しましょう。計算が手間にはなるのですが、減価償却費もきちんと計上することをおすすめします。

 不動産収入を得るのに利用した、税理士や弁護士の費用も経費になりますので、こちらも忘れずに記録しておきましょう。

 家賃収入をはじめとした不動産所得の確定申告を怠ると、ペナルティとして追加で課税されることがあるので十分に注意しましょう。

まとめ

 不動産オーナーとして家賃収入を得ている人は、まずは確定申告をすることを前提に、総収入(給与も含む)や、かかった経費をきちんと整理しておくことがおすすめです。

 確定申告は、煩雑で手間がかかるものですが、節税になるケースもあるので、きちんと期限内に終わらせましょう!

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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