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2024年4月23日 不動産コラム ペアローン不動産住宅購入団信財産分与

「ペアローン」のメリットと、利用時の注意点

最近、大手銀行やネット銀行が、夫婦やカップルで住宅ローンを借りる「ペアローン」の開拓に力を入れ始めています。住宅価格が高騰していること、また、共働き世帯が増えたことで、特に若い世代においてペアローンは人気があります。

2人で1つの物件に対してローンを組む、という商品だからこそ、通常の住宅ローンとは特徴が異なります。利用を考えている方は、ペアローンにどんな特性があるのか知っておきましょう。

今回は、最近人気の「ペアローン」について、その特徴やメリット・デメリットを解説します。

ペアローンの特徴

「ペアローン」とはその名の通り、1つの物件に対して夫婦2人が同じ金融機関でそれぞれ住宅ローンを組む方法です。

多くの場合、夫婦はお互いに債務の連帯保証人となり、資金負担の割合と同じ持ち分割合で住宅を購入、共有名義で契約します。

契約はそれぞれ別なので、片方が「3000万円・35年固定金利契約」、もう片方が「4000万円・変動金利契約」といったように、借り入れ条件をバラバラに設定することもできます。

これがペアローンの最大の特徴である、「1つの物件に対して住宅ローン契約が2本」だということです。なお、「1つのローンで債務者が2人」の連帯債務では、住宅ローン契約はあくまでも1つです。

ペアローンのメリット

では、ペアローンを利用するメリットについて解説しましょう。

借り入れ額を増やすことができる

1人で借りるよりも、2人がそれぞれローンを組むことで、たくさんの金額を借りられる可能性が高くなります。

近年、特に首都圏では、住宅価格が高騰しています。一時は、都内において新築マンションの平均売出価格が1億円を超えたという話もありました。

1億円の新築マンションを買うことができる個人は、そう多くはありません。会社員ともなると、ほとんど難しくなるでしょう。

ですが、夫と妻がそれぞれ年収600万円だとしたら、どうでしょうか。それぞれが5000万円程度のローンを組むことで、1億円のマンションにも手が届くようになります。

住宅ローン控除がそれぞれ利用できる

ペアローンだと、それぞれが住宅ローンを契約しているので、住宅ローン控除もそれぞれに適用されます。そのため、1人だけで住宅ローンを借りた時よりも、税制上優遇される額が高くなる仕組みになっています。

ペアローンを組んだ場合、それぞれの契約は諸費用がかかるため、事務手数料は印紙代などは2倍になるものの、住宅ローン控除を二人分フルに使えるので、これらの費用はすぐに取り戻せます。

ペアローンのデメリット

では次に、デメリットについても見ていきましょう。

返済が苦しくなるリスクが高い

ペアローンは、契約が2本ある分、収入減少のリスクも2倍になります。どちらか片方が健康を害したり、転職やリストラなどで収入が減ると支払いが厳しくなってくるというわけです。妊娠や出産でも、妻の収入が減る可能性が高いので「それぞれがローンを返済する」状態を維持できなくなるかもしれません。

また、ペアローンでは借入額を増やせる反面、借りすぎてしまう可能性も抱えています。

関係性の変化によるリスク(離婚など)がある

ペアローンにおける最大のリスクは、離婚と言えるかもしれません。いまや、夫婦の1/3が離婚すると言われて久しく、離婚自体はまったく珍しいものではありません。

ですが、ペアローンを組んでいる二人が離婚をするとなった場合には、まず「住宅ローンどうする?」「家はどちらがもらう?」といった問題が出てくるのです。

離婚したとしても契約上の関係は変わらないので、所有権や連帯債務、ローン返済についての協議が必要になるということです。

片方が死別しても、住宅ローンは残り続ける

住宅ローンというのは、契約者が死亡するとローンの残金は返済しなくてよいという契約になっていることがほとんどです。(団体信用生命保険)

ところが、ペアローンでは契約は夫婦それぞれが結んでいます。そのため、片方に万が一のことがあっても、残された方の契約はそのまま継続となるので、その分の支払いは続いていくことになります。

そのような事態に備えるため、団体信用生命保険の他に、生命保険に加入するなどをしておく必要があります。

時代の流れに合わせ、各銀行がペアローンに注力している

住宅価格高騰の波に影響され、ペアローンの利用者も増えているようです。

そんな中、りそな銀行は、団体信用保険の支払いをペアとし、金利を上乗せすることで、片方ががんと診断された場合や死亡した場合に、2人分の住宅ローンがゼロになるという商品を発表しました。

また、PayPay銀行でも同様の団信を発表しており、ペアローンのデメリットを軽減しようとする動きが見られます。

まとめ

住宅価格が高騰している今、共働き世帯にとってペアローンは有力な選択肢です。一方、その性質ゆえのデメリットもあります。

国の調査によると、同居から5年未満で離婚する夫婦が最も多く、なんと31.7%、離婚した夫婦のうち約3割に当たります。結婚してすぐに勢いでペアローンを組むのは、なかなかリスクが高いような気がします。

ペアローンの利用は、「夫婦が仲良く健康で、働き続けること」が重要な条件になっていると言えるのではないでしょうか。

不動産の購入や、住宅ローンに関する相談がある方は、ぜひ専門家集団である荒井会計事務所までご相談ください。

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この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
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