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2024年1月15日 不動産コラム 建築基準法新耐震基準旧耐震基準

耐震基準の基礎知識と、耐震制度のチェック方法

本年1月1日、能登半島を中心に大規模な地震が発生し、
広範囲にわたって大きな被害を及ぼすこととなり、波乱の年明けとなりました。被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。

日本は世界でも有数の、地震が多い国です。

そのため、「建築基準法」によって、建築物は揺れに強い設計が義務付けられていますが、こうした基準が定められたのは1950年からのことになります。

今回は、耐震基準に関する基本的な知識と、
建物の耐震性が私たちの生活にどのように影響するのかについて、解説していきたいと思います。

「耐震基準」は、建物の設計時に最も重視されている基準

日本では、地震が起きた際、そこに住んでいる人の命や、家・家財などの財産が守られるよう、建築物が一定の強さの地震に耐えられるよう「耐震基準」が定められています。

耐震基準は、建物を設計する際に最も重要視されている基準で、この基準を満たしていない建築物は、新しく建てることはできません。

新耐震基準と旧耐震基準

耐震基準がはじめて設けられたのは、1950年の建築基準法施行のことです。

この時は、「震度5レベルの揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修すれば生活できる」という程度の構造基準として設定されていました。

その後、1968年の十勝沖地震を踏まえて、RC(鉄筋コンクリート)造の基準が改正されています。このときまで、旧耐震制度では、震度6以上の地震に対する基準はありませんでした。

そして1978年に宮城県沖地震が発生。死者28人、130,000棟以上の家屋が倒壊し、ライフラインの復旧も著しく遅れたことから、耐震基準の更なる見直しに繋がりました。

こうしてさらに耐震強度を高くするように改正され、1981年から採用されたのが「新耐震基準」です。

新耐震基準では、震度6強〜震度7のレベルでも、建物が倒壊しないように構造基準が設定されています。

現存している建物は、旧耐震制度より前のもの、旧耐震制度時代のもの、新耐震制度以降のものとに分類できます。時系列で並べると次のようになります。

・1949年以前 耐震制度の定めがない建物(旧耐震、として呼ばれることもあります)
・1950年〜1981年5月31日 旧耐震制度に応じた建物
・1981年6月1日以降 新耐震制度に応じた建物

建物の耐震基準をチェックする方法

今住んでいる自宅や、これから売買を検討している住宅の耐震基準を知っておくことは非常に重要です。

では、実際にどのように確認すべきでしょうか。

「建築確認通知書」の日付を見る

どちらの耐震基準が適用されているか(もしくはいずれも適用されていないか)は、建物の築年数からおおまかに判断することができます。

新耐震基準が適用されたのが1981年6月1日なので、築42年以内の建物であれば基本的に新耐震基準で作られています。

ですが、築40年近くの物件については一度厳密に確認した方がいいでしょう。その場合は「建築確認通知書」の受理された日付を見ます。

建築確認通知書とは、建物を建築する前に行われる「建築確認」が済んでいることを証明する書類です。この建物が建築基準法に適合していることが証明される書面で、この認定日がいつになっているかによって、新耐震なのか旧耐震なのか判別できます。

資料:ソニー損保「建築確認通知書

建築確認通知書の受理された日付が、1981年6月1日以降であれば新耐震基準。1950年〜1981年5月31日であれば旧耐震基準です。

「竣工日(建物が完成した日)」ではないので気をつけましょう。

旧耐震基準とそれ以前の物件は、不動産売買の際にも不利になる

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、地震による直接的な死者5,502人のうち、約9割にあたる4,831人の方が、建物の倒壊や家具の転倒が原因で命を落としました。

なかでも旧耐震制度、またはそれ以前に建てられた建物の被害が大きく、震度6以上の地震が発生すれば、これらの建物は被害が甚大になることがわかりました。

近年の大震災は震度7以上になることも多く、これまで以上に建物の耐震性が重要視されるようになってきています。

そのため、中古物件の取引市場では、旧耐震基準の物件を危険視する声も高まっており、旧耐震基準のままでは取引が不利に働く傾向にあります。命に直結することなので当然とも言えるでしょう。

中古物件売買の前には「耐震診断」をしておこう

築40年未満(新耐震基準)の物件であっても、経年劣化などによって耐震性能が低くなってきている可能性があります。そのため、売却・購入どちらにしても、中古物件を取引する前には、現在の耐震性能を確認するのが安心です。

耐震診断は、自分で行えるものと、専門家に依頼するものがあります。

こちらは、国土交通省が出している、木造戸建て住宅(1〜2階建て)向けの耐震診断表で、簡易的に自己診断することができます。

【誰でもできるわが家の耐震診断】
・建てたのはいつ頃ですか?
・いままでに大きな災害に見舞われたことはありますか?
・増築について
・傷み具合や補修・改修について
・建物の平面はどのような形ですか?
・大きな吹き抜けがありますか?
・1階と2階の壁面が一致しますか?
・壁の配置はバランスがとれていますか?
・屋根葺材と壁の多さは?
・どのような基礎ですか?
参照:国土交通省「誰でもできるわが家の耐震診断」

あくまでも、耐震性能に関する知識をつけるためのものですが、建物のどの部分が耐震性能に影響するかがざっくり把握できる仕様になっています。

なお、木造とRC造、マンションとでは診断方法が異なるので、正確に判断したい場合は専門家に依頼するのがおすすめです。

調査によって耐震性能が足りないことが分かった場合は、耐震工事を検討する必要があります。

まとめ

今回は、耐震基準についての基礎知識を紹介しました。

建物の耐震性能は、住んでいる人の命に関わる重要な項目なので、基本的な知識を身につけておくとよいでしょう。

市川市・浦安市で不動産売却をお考えの際は、
ぜひ一度、荒井会計事務所までご相談ください。

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この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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