サラリーマン大家が知っておきたい、確定申告の基本
会社に勤めながら、賃貸物件を運用している
「サラリーマン大家」が増えてきています。
長年不動産投資をしている方にとってはおなじみの確定申告ですが
今年初めて賃貸物件を購入し大家になった、という方にとっては
大きな負担に感じるのではないでしょうか。
そこで今回は、サラリーマン大家の確定申告について解説していきます。
確定申告とは?
確定申告は、個人が1年の間に稼いだ収入を国に申告する手続きのことです。
申告された収入をもとに所得税を算出し、納税します。
サラリーマンは、源泉徴収として先に税金を納めているのですが、
給与以外の収入がある人は、その分も計算して国に報告するので
確定申告をする必要があります。
ですので、サラリーマン大家さんは、基本的に確定申告が必要になります。
確定申告書の提出期限
その年の所得の申告は、翌年2月16日〜3月15日までに行います。
確定申告書の提出方法
申告書の提出方法には以下の3つがあります。
1. 所轄税務署に郵送で提出
2. 所轄税務署の受付に持参して提出
3. e-Taxで提出(電子申請)
e-Taxを利用する場合は事前準備が必要なので、
利用登録や、マイナンバーカードの取得などを済ませておきます。
また、いずれの提出方法でも、3月15日当日やその直前は
利用者が殺到し混雑するので、期限には余裕をもちましょう。
確定申告の手順について
より詳しく知りたい方は、こちらのコラムも参照にしてください。
所得税などの納付期限とその方法
確定申告を行うと納税するべき金額が確定します。
追加で所得税が発生している場合は、
書類の提出期限と同じく3月15日までに支払います。
納税の方法には以下の4つがあります。
1. 預貯金からの振替納税(振替は4月中旬に行われる)
2. 金融機関で現金納付
3. クレジットカード納付
4. e-Taxで納付
クレジットカード納付の場合は利用手数料が発生しますが、
カードのポイントを貯めているという人からは人気があります。
自分の都合にあった支払い方法を選択しましょう。
所得税の納付が遅れるとどうなる?
期限内である3月15日までに確定申告ができなかった、
もしくは所得税の納付が間に合わなかった場合は、
延滞税として年率2.4%
(納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については8.7%)の税金が追加されます。
不動産所得の計算方法
では、確定申告で必要な「不動産所得」の計算方法について説明します。
所得とは、得た収入から経費を差し引いた金額のことです。
なので不動産所得を計算するには
「不動産で得た収入」から「その不動産収入を得るのにかかった経費」を差し引きます。
不動産収入 ー 必要経費 = 不動産所得の金額
不動産収入を調べる
不動産収入には、賃料として得た金額のほかに、以下のものも含まれます。
・名義書換料、承諾料、更新料または頭金など
・敷金や保証金などのうち、返還しなくていいもの
・共益費などとして受け取る電気代、水道代や掃除代など
※参照:国税庁「No.1370不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
計算対象となるのは、1月1日から12月31日までに生じた分です。
注意しなくてはいけないのは、
実際に動いたお金の金額ではなく
「受け取れる権利がある分」
「支払うべき義務が確定している分」で計算するということです。
例えば、2024年1月分の家賃が2023年12月に振り込まれたのなら、
この分は2024年の収入として計上します。
必要経費を調べる
次に、不動産収入を得るのにかかった経費を調べます。
経費の対象となるのは、以下のようなものです。
・家賃の集金代行手数料
・建物管理費
・修繕積立金(共用部分)
・修繕費(専有部分)
・税金(固定資産税、不動産取得税、登録免許税)
・住宅ローンの支払金利(土地等の取得に要した金利分は経費になりません)
・減価償却費
・火災保険料
・登記費用(司法書士報酬含む)
・ローン事務手数料(融資活用の場合)
・税理士報酬
各種領収書(修繕にかかった工事費や、税理士への依頼費など)や、
火災保険の保険証券、納付書などはきちんと残しておきましょう。
住宅ローンの支払い金利については、金融機関から通知書が送られてくるので、
その書類をもとに金利を割り出すことができます。
必要経費の対象となるのは「金利部分」だけなので注意しましょう。
減価償却費とは、建物の購入費を耐用年数で割ったものです。
減価償却費の算出方法については複雑なケースがあるので、
不安な方は税理士に相談することをおすすめします。
不動産所得と給与所得を合算し、所得税額が決定する
サラリーマン大家は会社から給与をもらっていますから、
最終的にその年の所得を算出するためには
「不動産所得」と「給与所得」を合算する必要があります。
不動産所得 + 給与所得 = 総所得金額
この総所得金額に対して、累進課税による一定の税率を適用して計算したものが、
最終的な所得税の税額となります。
この額のうち、勤務先で源泉徴収され(さらに年末調整を受けた)、
納付済の所得税の金額を差し引いた分の金額が、
確定申告で納付するべき税金です。
確定申告を簡単にするには?
慣れれば簡単なのですが、初めての方にとっては
どうしても確定申告は煩雑に感じてしまいます。
そこで、より簡単に申告する方法もお伝えしましょう。
税理士に委託する
必要書類を持参して、書類作成を税理士に委託する方法です。
費用はかかりますが、それも必要経費として計上することができます。
専門家なので申告ミスの不安もありませんし、節税についても気軽に相談できます。
会計ソフトを使う
freeeや弥生会計オンラインといった会計ソフトを利用する方法です。
勘定科目を選んで、金額を入力するだけで収支内訳書が仕上がります。
データをダウンロードすれば、確定申告用の書類に一括変換できるものもあり、便利です。
税務署で聞きながらやる
税務署の職員や、常駐している税理士に聞きながら作成する方法です。
確定申告のシーズンは非常に混み合います。
当然ですが、税務署では節税対策について聞くことはできません。
まとめ
不動産投資において、確定申告は避けて通れないものです。
むずかしく感じるかもしれませんが、必ず行うようにしましょう。
きちんと確定申告をすると、ケースによっては
所得税や住民税から還付が受けられることもあるので、メリットも大きいのです。
なお、当然なのですが、節税に関する情報は、税務署では教えてもらえません。
不動産投資によって節税できる可能性も大きいので、
詳細な情報を知りたいという方は、ぜひ一度、
専門家集団である荒井会計事務所までご相談ください。