コラム不動産コラム
税理士法人荒井会計事務所 > コラム > 不動産コラム > 副業で不動産収入がある人の、年末調整の必要性や、やり方について解説
2023年11月14日 不動産コラム 不動産所得年末調整手続き確定申告

副業で不動産収入がある人の、年末調整の必要性や、やり方について解説

毎年11月頃になると、会社員の人は
会社から年末調整に関する告知がなされます。

年末調整とは、天引きされている税金と
実際に支払うべき税金の整合性をとるというものですが、
副業として、アパートやマンションの賃貸などの不動産経営をしている人は、
「給与の他に別の収入がある」ということになります。

このような人は、年末調整において
どのように対応したら良いのでしょうか。

今回は、不動産収入がある会社員の
年末調整の必要性について解説していきます。

「年末調整」は、これまで払った税金を調整する手続きのこと

通常、会社員が手にしている「給与」というのは、
住民税や所得税が天引きされた額になっています。

ところが、この納めている所得税はあくまで概算で、
基礎控除や配偶者控除、生命保険料控除などが適用されていません。

なので、年末にこれらの控除を含めた上で税金を再度計算し、
本来納めるべき税額に調整する
ーーこれが年末調整です。

年末調整をするにあたって、会社から提出を求められる書類は、
以下のようなものです。

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
・「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」
・「生命保険料控除の証明書」など

こうした各種控除証明書を提出することで、
払い過ぎた税金が還付されたり、
不足している場合は、追加で税金を納付することになります。

こうした各種年末調整の手続きについては、
雇用している会社側に行う義務があるので、
会社員の人は、必要書類を会社に提出するだけで、手続きは完了します。

また、年末調整の対象は、会社員だけに限りません。
年間を通じて勤務している人、パートやアルバイト、契約社員も含まれます。

不動産収入が20万円以上ある場合は、年末調整の他に確定申告が必要

会社員としての給与は、
年末調整によって税額の適正化がはかられていると言いました。

では、副業として、アパートやマンション経営をして、
給与とは別に収入を得ている場合はどうなるのでしょうか。

「会社で年末調整をやったから、特にやることは無いのでは?」
と思うのは大きな間違いです。

副業で不動産収入を得ている人は、
原則として、年末調整とは別に確定申告を行う必要があります。

不動産による収入についても国に報告し、
税金を支払う義務があるからです。

※こちらのコラムもご参考ください。
参考記事:不動産に関わる確定申告が必要なケースとは?

確定申告は翌年3月15日までに、自分で行う

不動産による収入には、以下のようなものがあります。

・アパート、マンションなどの建物や、土地の貸し付けによる賃料収入
・借地権を設定している土地に対する権利金収入
・船舶や航空機の貸付による賃料収入

これらの収入が20万円以上ある人は、
確定申告によって「不動産所得」を申告しなくてはいけません。

会社が主導してくれる年末調整とは違い、
確定申告は自分で行う必要があります。

その年の不動産所得と、給与所得を合算し、
翌年の2月16日〜3月15日までの間
全体の所得がどのぐらいになったのかを、国に報告しなくてはいけないのです。

もし、確定申告を行わなかった場合、
無申告加算税という税金が課せられてしまうので注意しましょう。

不動産所得の確定申告のやり方

会社員として給与を得ながら、
不動産収入のある人は、どのように確定申告をしたらいいのでしょうか。

具体的に説明していきましょう。

「不動産収入」を計算する

まずは、不動産で得た収入の総額を計算します。

不動産収入にあたるのは、賃料収入だけではありません。
以下のような収入も不動産収入として計上されます。

・名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの
・敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
・共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など

敷金や保証金のうち、返還する分については収入として扱いません。

「不動産所得」を計算する

確定申告では、不動産収入から諸経費を引いた
「不動産所得」の金額を申告します。

この所得金額に応じて、一定の税金がかけられるというわけですね。
不動産所得を算出する計算式は、以下の通りです。

【不動産所得】=【不動産収入】ー【諸経費】

諸経費というのは、不動産収入を得るためにかかった必要経費のことです。

管理費、共益費、修繕費のほか、
固定資産税、都市計画税、損害保険料なども
必要経費として計上することができます。

出典:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

より詳細を知りたい方は、以前のコラムで詳しく説明していますので、
確認してみてください。

不動産所得と、給与所得を合算する

不動産所得がわかったら、
その年の給与所得と合わせて、その年の総所得を算出します。

【給与所得】+【不動産所得】=【総所得】

この総所得に対して、所得税・住民税が課せられるという仕組みです。

そのため、確定申告の前には、
給与所得がいくらであったか、
源泉徴収票などで確認しておきましょう。

不動産収入が赤字の場合、損益通算で総所得を減らすことができる

不動産収入が20万円の以下の人は
確定申告をしなくてもいいかというと、そうも言い切れません。

不動産所得(不動産収入ー必要経費)が赤字であれば、
給与所得と合算して、総所得を減らすことができます。

例えば、給与が700万円、
不動産所得が赤字でマイナス200万円だったとしたら、
合算して、その年の所得が500万円になります。

所得が減れば、所得税や住民税の負担が軽くなり、
節税対策になるというわけです。

まとめ

年末調整は会社側で行う税金の調整です。
多くの場合で、控除関連の書類を会社に提出するといったことが、
主な内容になるでしょう。

一方、副業として不動産収入がある人は、
この年末調整とは別に、確定申告を行うことになります。

どちらも、正しく計上することで
所得額を減らせるという人も多く、節税効果のあるものです。

確定申告のために不動産所得を計算する際、
経費の範囲や、減価償却の対象物の洗い出し方などによっては
金額が変わってくることもあります。

専門家に相談して、正しく申告したい、
損をしない申告がしたい、という方は
ぜひ一度当事務所までお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
初回相談は完全無料です。