不動産に関わる確定申告が必要なケースとは?
不動産を購入した人、売却した人、
賃貸に出して家賃収入を得るようになった人。
このような人たちは、その翌年に確定申告をしなくてはいけません。
季節も変わって、そろそろ来年の準備も始めたいところです。
そこで今回は、来年3月の確定申告に備えて、
「不動産に関わる確定申告が必要なケース」について紹介していきましょう。
確定申告とは?
「確定申告」とは、
1年間の所得金額を計算し、
その所得に対して課せられる税金の額を申告・納税することです。
1月1日から12月31日までの所得とその税額は、
翌年2月16日から3月15日までに税務署に届け出ることが必要です。
不動産に関する取引がある人の他に、
自営業・フリーランスといった事業所得がある人も、
毎年確定申告を行っています。
確定申告の具体的な手続きについては、
こちらで紹介しているので参考にしてください。
不動産に関する、確定申告が必要な4つのケース
それではここから、不動産に関して
確定申告が必要なケースを紹介していきましょう。
これらに当てはまる人は、会社員であっても
確定申告をする必要があります。
1. 不動産を売却した
その年に不動産を売却した人は、
売却によって得た金額から経費などを引いた「譲渡所得」を
確定申告する必要があります。
この譲渡所得に対して税金が課せられるのですが、
税率は、その売却した不動産を何年間保有していたかで異なります。
【譲渡所得の税率】
保有期間が5年以内:所得税30%、住民税9%
保有期間が5年超:所得税15%、住民税5%
不動産を購入してから5年以内に売却すると、
売却して得た所得に対して、所得税と住民税合わせて
39%もの税金がかかってしまいます。
不動産売却時の税金については、
詳しくはこちらの記事でも解説しているので参考にしてください。
2. 家賃収入がある
現在所有している不動産を賃貸に出していて、
賃貸収入を得ている人は、
その収入から経費を引いた「不動産所得」を
確定申告する必要があります。
賃貸用不動産を持っている場合、
ローンの支払いや管理費、修繕費、不動産業者への支払いなどで
赤字になることもあります。
そんな時は、損益通算として、
所得から赤字分を差し引くことができるので、
結果として税金が還付されることもあります。
3. 住宅ローンを利用してマイホームを購入した
個人が住宅ローンを利用して、
自分が居住するための住宅を購入した場合、
一定の要件を満たしていれば、所得税から税金が控除される
「住宅ローン控除」が利用できます。
住宅ローン控除を利用するには、
利用する初年度に確定申告が必要です。
なお、2年目以降は、年末調整だけで良いので、
確定申告の必要はありません。
控除額は「住宅ローン残高の0.7%/年」で、
これが最大13年間続きます。
例えば、ローン残高が3,000万円であれば、21万円が
その年の所得税から控除されます。
なお、控除の適用を受けるには、
購入した住宅の床面積や、購入から居住するまでの期間、
所得金額などに要件がありますので、
詳しくは国税庁のWEBサイトをご確認ください。
参照:国税庁「マイホームを持ったとき」
住宅ローン控除は、節税メリットが非常に大きい制度です。
マイホームを購入した人は、忘れずに申告するようにしましょう。
4. 特定のリフォームを行った
こちらも住宅ローン控除の一種で、
個人が住宅ローンを利用して
国が指定する特定のリフォームを行った場合、
住宅購入時の住宅ローン控除と同じく、
一定額の控除を受けることができます。
こちらも、新築住宅を取得した場合と同じく、
住宅ローン控除を利用する初年度に、確定申告をする必要があります。
2年目以降は年末調整で大丈夫です。
対象となるリフォーム工事は、以下の通りです。
・大規模修繕、または大規模な模様替え工事
・バリアフリー工事
・省エネ改修工事
・多世帯同居改修工事
・新耐震基準適用のための耐震工事
新築の住宅ローン控除と同じく、
リフォームの場合も、工事内容の他にさまざまな要件があります。
要件を満たしているかどうか、きちんと確認しておきましょう。
参照:国税庁「No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
まとめ
ここまで、不動産に関連する確定申告が必要なケースを
それぞれ紹介してきました。
この中でも、毎年必ず確定申告が必要なのは、
「家賃収入がある」という不動産所得が発生している場合だけです。
確定申告が必要なタイミングについて
ケース別にまとめてみましょう。
・不動産を売却した=譲渡所得が発生したその翌年に確定申告を行う
・家賃収入がある=不動産所得があるうちは、毎年、その翌年に確定申告を行う
・新築住宅を購入した、リフォームをした=住宅ローン控除を利用する初年度だけ確定申告を行う
はじめての人にとって、
確定申告はとてもおっくうなものに感じるかもしれませんが、
必ずしも税金を支払うことだけが目的ではありません。
住宅ローン控除を利用する人は特にそうですが、
確定申告をすることによって、払いすぎた税金を
還付してもらうという目的もあります。
確定申告について、専門家に相談したいという方は、
ぜひ一度当事務所へお越しください。