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2023年2月27日 不動産コラム 不動産不動産所得譲渡所得の特別控除

不動産の譲渡所得における特別控除制度とは?

土地や建物といった不動産を売却して利益が出ると、
その利益分は「譲渡所得」という扱いになり、所得税や住民税がかかります。

ただし、一定条件下で不動産を売却した場合は、税金が控除される制度があり、
これを「譲渡所得の特別控除」といいます。

「譲渡所得の特別控除」とは?

土地や建物を売って利益が出ると、
「譲渡所得」として確定申告しなくてはなりません。
利益の分だけ税金を納めなくてはならないからです。

税率がどれぐらいになるかは、売主が個人か法人か、
また、その不動産をどれだけ所有していたかによって異なりますが、
個人の場合、最大40%近くになることもあります。(詳しくは前回のコラムで解説しています。)

ただし、以下のケースに当てはまる場合は「特例控除」が適用できます。

その状況に応じて、一定の要件を満たすことで
所得を減らすことが認められており、納める税金を軽減することができる
というわけです。

  • 公共事業のために土地や建物を売った
  • マイホーム(居住用財産)を売った
  • 特定土地区画整理事業などのために土地を売った
  • 特定住宅地造成事業などのために土地を売った
  • 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した
  • 農地保有の合理化などのために土地を売った
  • 低未利用土地等を売った

 では、それぞれの特例控除について簡単に解説していきましょう。

(1)公共事業などのために土地や建物を売った場合
(特別控除:最大5,000万円)

土地収用法やその他の法律で認められた公共事業のために土地建物を売却したという場合は、
最大5,000万円の控除が適用されます。
(参照:国税庁 収用等により土地建物を売ったときの特例

(2)マイホーム(居住用財産)を売った場合
(特別控除:最大3,000万円)

居住用財産(いわゆるマイホーム)を売却した場合は、最大3,000万円の特別控除が利用できます。
こちらは、その他の特例と比べて利用できる人が圧倒的に多い特例です。

所有期間の長短は関係なく、マイホームであれば適用可能です。
(参照:国税庁 マイホームを売ったときの特例

(3)特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合
(特別控除:最大2,000万円)

「特定土地区画整理事業」とは、国土交通省の施策によって行われる街づくり事業のひとつです。
売却した土地が特定区画整理事業の範囲に指定されていると、
この特例を利用でき、最大2,000万円の控除が受けられます。

(4)特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合
(特別控除:1,500万円)

地方自治体などが主体となって行う住宅地や事業地開発のために、
土地を売却した場合は最大1,500万円の控除が受けられます。

(5)平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合
(特別控除:最大1,000万円)

平成21年(2009年)・平成22年(2010年)に取得した土地を、
それぞれ平成27年(2015年)・平成28年(2016年)以降に譲渡した場合
最大1,000万円の控除が受けられます。

(2)の「マイホーム(居住用財産)を売った場合の特例控除」と併用することもできます。
(参照:国税庁 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

(6)農地保有の合理化などのために土地を売った場合
(特別控除:最大800万円)

都道府県や市町村には「農地保有合理化法人」がそれぞれ設置されています。

こうした団体を通じて、農地の買い手を探したり、
この団体に直接農地を売却した場合には、
最大800万円の控除が適用されます。

(7)低未利用土地等を売った場合
(特別控除:最大100万円)

都市計画区域内にある、利用されていない土地・利用頻度が低い土地や建物を、
500万円(一部条件下では上限800万円)以下で売却した場合に、
最大100万円の控除が適用されます。

ただし、売った後にきちんと利用されていることが条件です。
(参照:総務省 令和5年度税制改正の大綱、:全宅連 令和5年度税制改正要望に対する結果概要について

「特別控除」を利用する際の注意事項

では、特別控除を利用する上での注意点を確認しましょう。

・特別控除額は、年間合計5,000万円が限度

それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度です。

また、いくつかの特別控除を同時に利用できるケースもありますが、
控除額の上限は合計5,000万円までです。

また、複数の特別控除を利用する場合、1から順番に適用されます。

・適用要件は細かく確認すること

それぞれの特例ごとには、適用要件が細かく決められています。

例えば、国や自治体に売った場合であれば
その売った土地が何に使用されるのか、面積は充分か、などといった要件があるので、
特例控除を利用する前には、こうした細かい点も確認する必要があります。

まとめ

不動産売却時の特別控除は、税金を抑えるためにとても有効な制度です。

ただし、利用要件も細かいですし、この特例制度自体も
ずっと同じというわけではなく、一部の特例は期限付きの制度でもあるので、
利用する際にはきちんと確認しておきましょう。

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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