青色申告に切り替える手順(不動産オーナー初心者向け)

本日も税理士法人荒井会計事務所のコラムをご覧いただきありがとうございます。
当コラムでは、妙典・行徳・浦安エリア周辺にお住いの方へ向けて、
不動産や相続に関する内容を、コラムという形で情報発信しております。
前回は青色申告についてのお話をしましたが、今回は青色申告をするときの手順について
お話してみたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう。
まず最初に:青色申告は「申請」が必要です
「青色申告のほうが得なのは分かったけど、何から始めればいいの?」
ここで止まってしまう方はとても多いです。
でも実際は、やることを順番に分ければ大丈夫です。
不動産オーナーの青色申告は、
①期限確認 → ②申請書提出 → ③記帳開始 → ④決算書作成 → ⑤確定申告
の流れで進みます。
今回は、初心者の方がつまずきやすいところを先回りしながら、実務ベースで解説します。
青色申告は、自動で切り替わる制度ではありません。
税務署に 「所得税の青色申告承認申請書」 を出して、承認を受ける必要があります。
国税庁も、不動産の貸付けを始めた年分から青色申告をしたい場合は提出が必要と案内しています。 (国税庁)
専門用語ミニ解説
- 青色申告承認申請書:
「今年から青色申告をしたいです」と税務署に届け出る書類 - 承認:
税務署がその申請を認めること(通常は要件を満たせば手続きで進みます)
手順1:まず「今年分から間に合うか」を確認する(最重要)
青色申告は、出せばいつでもその年から適用されるわけではありません。
期限があります。
国税庁の案内では、不動産の貸付けを始めた年分から青色申告をする場合、
原則として開始日から2か月以内(その年の1月15日以前に開始した場合は3月15日まで)に
申請書を提出する必要があります。 (国税庁)
ここでの初心者ポイント
- 「確定申告の時期(翌年2〜3月)になってから切り替えよう」は遅い場合がある
- まずは “今から今年分に間に合うか” を確認する
手順2:提出する書類を準備する(基本は1枚+状況により追加)
まず必要になる書類(基本)
- 所得税の青色申告承認申請書
これがメインです。
状況により追加で必要になる書類
- 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
※不動産貸付けが「事業的規模」の場合、開業届の提出が必要になるケースがあります(国税庁No.1399参照)。 (国税庁) - 青色事業専従者給与に関する届出書
※家族に給与を払って経費化したい場合に必要(後述) (国税庁)
専門用語ミニ解説
- 事業的規模(じぎょうてききぼ):
不動産貸付けが「事業」といえる規模かどうか。税務上の扱いが変わる基準。
国税庁は目安として、アパート等はおおむね10室以上、独立家屋はおおむね5棟以上を示しています。 (国税庁) - 専従者(せんじゅうしゃ):
家族で、あなたの事業に主として従事している人
手順3:青色申告で目指すゴールを決める(10万 / 55万 / 65万)
青色申告には、青色申告特別控除という特典があります。
国税庁の整理では、条件により 10万円 / 55万円 / 65万円 の控除があります。 (国税庁)
ざっくり違い(初心者向け)
- 10万円控除:比較的ハードル低め
- 55万円控除:正規の簿記(一般に複式簿記)+決算書類などが必要
- 65万円控除:55万円の条件に加え、e-Tax申告または電子帳簿保存の要件などが必要 (国税庁)
ここで大事な注意
不動産所得では、不動産貸付けが事業として行われている場合に、
一定要件を満たせば55万円(さらに要件で65万円)が狙えます。
それ以外は最高10万円です。 (国税庁)
つまり、初心者の区分マンション1室オーナーなどは、まず 「青色10万円でもOK」 という考え方で
始めるのが現実的です。
最初から65万円だけを狙って止まるより、まず青色化する方が前進です。
手順4:会計ソフトを導入して「記帳」を始める
記帳(きちょう)とは?
日々のお金の出入りを帳簿に記録することです。
青色申告は、この記帳が土台になります。
国税庁でも、青色申告は正規の簿記が原則ですが、簡易な記帳でもよい場合があること、
帳簿や書類の保存が必要であることを案内しています。
帳簿・書類は原則7年保存(書類により5年)です。 (国税庁)
初心者が最初にやる設定(会計ソフト)
- 事業年度(通常は1月1日〜12月31日)
- 口座(家賃入金口座)
- クレジットカード(経費用)
- 不動産収入の項目(家賃、共益費など)
- 経費項目(管理費、修繕費、保険料、租税公課など)
初心者がラクになるコツ
- 事業用口座を分ける
- 事業用カードを分ける
- レシートは月ごとに保管
- 通帳・請求書・領収書を「同じ月」で突合(つきあわせ)する
「後でまとめて入力」は高確率で詰みます。
月1回、30分でいいので入力するのが一番ラクです。
手順5:年末に「青色申告決算書(不動産所得用)」を作る
確定申告本番では、申告書だけでなく、青色申告決算書(不動産所得用) を作成します。
国税庁は様式を公開しています。 (国税庁)
専門用語ミニ解説
- 青色申告決算書:
1年分の不動産収入・経費・利益をまとめた書類 - 損益計算書(そんえきけいさんしょ):
売上・経費・利益をまとめた表 - 貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう):
年末時点の資産・負債の状況をまとめた表(55万/65万控除で重要)
会計ソフトを使い日々の入力をしていれば自動でかなり作れます。
手順6:確定申告書を提出する(できればe-Tax)
青色申告特別控除の55万/65万を使う場合、国税庁は、確定申告期限までの提出や、
必要書類の添付が必要としています。
さらに65万円控除はe-Tax申告または電子帳簿保存の要件が関係します。 (国税庁)
e-Tax(イータックス)とは?
インターネットで確定申告を提出できる仕組みです。
「税務署に行かなくていい」「65万円控除の要件に関係する」などのメリットがあります。
家族に手伝ってもらっている人の追加手順(重要)
家族に物件管理や入居者対応を手伝ってもらっていて、給与を経費にしたい場合は、
青色事業専従者給与の制度が関係します。
ただし、これは不動産所得では 事業的規模の場合に適用 されます。
また、使うには 「青色事業専従者給与に関する届出書」 の提出が必要で、期限もあります。
初心者がつまずきやすい失敗3つ
1)申請期限を過ぎる
→ その年は白色のままになることがある。まず期限確認。
2)レシートだけ集めて記帳しない
→ 決算時に間に合わない。月1回入力にする。
3)「65万円控除」だけを目標にして止まる
→ まずは青色化。10万円控除でも白色より前進できる場合が多い。
まとめ
初心者は「今年から青色にする準備」を1つずつ進めればOK
青色申告に切り替える手順は、難しそうに見えて、実はやることは明確です。
- 期限確認
- 青色申告承認申請書の提出
- 会計ソフトで記帳開始
- 青色申告決算書を作成
- 確定申告(できればe-Tax)
最初の1年は、完璧よりも 「期限を守る」「記録を残す」「月1回入力する」 の3つが大事です。
これができると、翌年から一気にラクになります。
不動産に関する税務や青色申告についてお悩みの方は、
ぜひ一度税理士法人荒井会計事務所までお気軽にご相談ください。
浦安・行徳・妙典エリア以外の方や、近隣の地域の方からのご相談もお待ちしております。
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