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2025年11月14日 不動産コラム 不動産所得年末調整所得税源泉徴収税金

「年末調整」の基本を徹底解説

早いもので今年ももう11月ですね。少しずつ年末の足音が聞こえてくるようです。
この時期になるとやってくるのが「年末調整」です。

年末調整と聞くと、「面倒くさい」「よく分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
会社員やパート・アルバイトとして働いている方にとっては、
この年末調整はお金が戻ってくるかもしれない大切な手続きです。

今回は「そもそも年末調整とは?」「なぜ毎年この時期に行うのか?」といったことについて、
専門用語をかみ砕いて分かりやすく解説します。

それではさっそく見ていきましょう。

年末調整とは?

まず、年末調整とは何か?というところから見ていきましょう。
「年末調整」とは、会社が従業員(給与所得者)に代わって、
1年間(1月1日~12月31日)に納めるべき正確な所得税の額を計算し、
既に源泉徴収された金額との差額を精算する手続きのことです。

「所得税」や「源泉徴収」といった用語がでてくるとまた身構えてしまう方もいるかもしれません。
一つずつ解説していきましょう。

1. 所得税について


私たちが働いて得る給与や賞与には、「所得税」という税金がかかります。
所得税は、国を維持・運営するための重要な財源の一つです。
この所得税は、個々人の年間の収入(所得)に応じて税額が決まります。
収入が多ければ税金も高くなり、少なければ税金も低くなる仕組みです。

2. 源泉徴収について


会社員の場合だと、毎月の給与から税金が引かれていますよね。
これが「源泉徴収」です。
源泉徴収は、会社が概算で計算した所得税を、給与が支払われる際に天引きして、
私たちに代わって国に納める仕組みです。
これにより、納税の手間を省き、国は安定して税収を得ることができます。

しかし、この毎月の源泉徴収額は、あくまで概算です。
なぜなら、1年間の途中で家族構成が変わったり(結婚、出産など)、生命保険に加入したりするなど、
個人の状況が変わる可能性があるためです。

3. なぜ精算が必要なのか?


源泉徴収で引かれた概算の税額と、年末に確定する正確な税額は、ほとんどの場合でズレが生じます。

<ズレが生じる主な理由>
・毎月の給与計算時には、年間の正確な収入額や、各種控除(税金を計算する上で差し引ける金額)が考慮されていない。
・1年間の給与総額が確定し、生命保険料や地震保険料など、個々人の事情・状況に応じた控除を適用できるのが年末だから。

これらのズレを解消し、「税金を払い過ぎていれば戻し(還付)」、
「不足していれば追加で徴収する(追徴)」作業が、年末調整なのです。

年末調整のメリットと注意点

年末調整を面倒に感じる方も多いと思いますが、
会社員・パート・アルバイト等の方にとっても大きなメリットがあります。

◆メリット:お金が「還付」される可能性が高い!
年末調整の最大のメリットは、払い過ぎた税金が戻ってくる(還付される)可能性が高いことです。
年末調整で生命保険料や扶養家族などの控除を適用することで、納めるべき正しい所得税額が下がります。
その結果、既に源泉徴収で納めた金額よりも少なくなれば、差額が給与と一緒に返金されます。
これが「還付金」です。

◆注意すべき点:手続きを忘れると「損」をすることも
年末調整の手続きを忘れたり、必要な書類の提出を怠ったりすると、前述のような各種控除が適用されません。
控除が適用されないということは、納めるべき所得税額が高くなってしまい、還付金がもらえなかったり、
年末調整の手続きをした場合よりも多くの税金を納め過ぎたままになる可能性があります。

「控除」の例と提出が必要な書類

それでは今度は前述の「控除」とそれに伴って提出が必要になる書類について見ていきましょう。
以下の書類は、会社勤め等をされている方の場合は見慣れたものだと思います。
毎年この時期になると会社から配布されて「〇日までに提出してください!」などとアナウンスされますよね。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

これは、翌年の源泉徴収額を決めるための重要な書類です。
その名の通り、配偶者や子ども、親族などを扶養している場合に、
”扶養控除”という控除を受けることができます。
氏名、住所、家族構成(配偶者や扶養親族の有無)などを記入して提出しましょう。

「給与所得者の保険料控除申告書」

これは、その年に支払った生命保険料や地震保険料などを申告するための書類です。
支払った生命保険料や地震保険料などに応じて税金が安くなる控除です。
支払った生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料、地震保険料などを記入し、
保険会社などから送られてくる控除証明書の原本を添えて提出しましょう。

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(該当者のみ)

※この書類について、今年(令和7年)は名称等が変更になっています。
詳しくは次回のコラムで見ていきたいと思います。

基礎控除:すべての納税者が一律に受けられる控除です。
(ただし、年間の所得額に応じて控除額は変動します)

配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者がいる場合に、その配偶者の所得に応じて受けられる控除です。
この控除を受けるかどうかを決めるために、配偶者の年間所得の見積額を記入する必要があります。

まとめ

年末調整は必要な書類や記入項目などが多く、少し面倒に感じてしまうかもしれません。
しかし前述した通り、正しい手続きをすればお金が手元に戻ってくることもあります。

単なる面倒な手続きではなく、正しい税金を納めるため、
そして払い過ぎた税金を取り戻すための機会としてとらえましょう。

このコラムが、皆さんの年末調整に対する不安を解消し、スムーズな手続きの一助となれば幸いです。

税金の申告(特に不動産所得に関するもの)などでお悩みの際は
ぜひ一度税理士法人荒井会計事務所までご相談ください。

この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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