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2024年2月15日 不動産コラム 2024年度不動産住宅ローン控除住宅ローン減税確定申告

2024年の住宅ローン控除、過去制度との変更点は?

2023年12月、来年度の税制を具体的にまとめた「令和6年度税制大綱」が発表されました。その中でも不動産にまつわる税制優遇制度でインパクトの強い住宅ローン控除も、何点か変更になりました。

税制大綱で発表された内容は、2024年の国会で正式決定しますが、多くの場合で大きな変更点はないまま施行されます。

ということで今回は、2024年に予定されている「住宅ローン控除」について、過去との変更点やポイントについて解説していきます。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、10年以上の住宅ローンを借りて、住宅を購入、新築、または増改築を行った場合に、本来支払うべき所得税が控除される制度です。一般的には住宅ローン控除(住宅ローン減税)と呼ばれていますが、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。

控除される所得税額は【住宅ローン残高✖️0.7%で、仮にローン残高が3000万円あれば来年度の所得税から「3000万円✖️0.7%=21万円が控除されます。年収600万円の人であれば年間所得税は大体40万円程度になるので、その約半分が控除されるという節税インパクトが非常に大きな制度です。

2024年 住宅ローン控除の変更点

では、2024年に予定されている住宅ローン控除の変更点について説明しましょう。以下の図は、国土交通省が公開している、2024年以降の住宅ローン控除に関する資料ですが、この内容を読み解いていきます。

出典:国土交通省 「(別紙1)令和6年度住宅税制改正概要

1.新築における、住宅ローン借入額上限の引き下げ措置

2024年以降は、新築住宅に限り、控除の対象となる「住宅ローン借入額の上限」が引き下げられます。

2023年までは、新築や買取再販住宅だと、最大5000万円が控除の対象となっていました。ところが、2024年には最大4500万円まで引き下げられます。借入額の上限が引き下げられるということは、最大控除額も引き下がるということです。

先ほども説明しましたが、控除額は住宅ローンの年末残高に応じて決定します。ローン残高が5000万円であれば、そこに0.7%かけて、控除額が35万円となりますが、上限が引き下げられたことによって、最大控除額は4500万円×0.7%の31.5万円となりました。

特例「子育て・若者夫婦世帯」は、借入額上限5000万円を維持

新築・買取再販住宅については、全体的に借入額上限が引き下げられることになりましたが、子育て世帯と若者夫婦世帯に関しては、上限を5000万円に据え置いています。この控除限度額の上乗せ措置は、2024年12月31日まで1年間の限定措置ですが、少子化対策として、子育て世帯と若者夫婦世帯を優遇したいという国の意図があります。

子育て世帯とは

19歳未満の子を有する世帯のこと(詳細は未定ですが、2024年12月31日時点で19歳未満の子どもが対象となると想定されます)

若者夫婦世帯とは

夫婦のいずれかが39歳以下の世帯のこと(こちらも詳細は未定ですが、2024年12月31日時点で39歳未満の人が対象となることが想定されます)

2.新築の「その他住宅」に対する控除の廃止

2024年以降、住宅性能が指定の環境基準に達していない新築住宅=「その他の住宅」では、住宅ローン控除が利用できなくなります新築で利用できるのは、一定の水準を満たした住宅である、「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」のみとなります

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、環境配慮ができていない新築物件には、税控除を行わないというのが国の方針だということです。

なお、中古住宅については、その他の住宅であっても、ローン借入額最大2000万円まで控除の対象になります。

長期優良住宅とは

長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。以下の要件について基準が設けられているので、その基準を満たしているということを、管轄行政に申請し、認定を受ける必要があります。

・長期に使用するための構造及び設備を有していること
・居住環境等への配慮を行っていること
・一定面積以上の住戸面積を有していること
・維持保全の期間、方法を定めていること
・自然災害への配慮を行っていること

低炭素住宅とは

生活や活動に伴って発生する二酸化炭素を抑制するための措置が講じられている住宅のことです。こちらも長期優良住宅と同じく、以下の要件を満たしているかどうか、管轄行政からの認定を受ける必要があります。

・省エネ基準を超える省エネ性能を持つこと。かつ低炭素化に資する措置を講じていること 
・都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針に照らし合わせて適切であること
・資金計画が適切なものであること

ZEH水準省エネ住宅とは

断熱性能等が充分かつ、高効率な設備システムの導入により、大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅です。太陽光発電や蓄電池を備え付けており、エネルギーを創出することができるのが特徴です。

省エネ住宅とは

高断熱・高気密に作られていて、エネルギー消費量を抑える設備を備えた住宅のことです。住宅の性能はもちろん、暖冷房、給湯、照明など、住宅で使う設備についてもエネルギー消費量に関する基準が定められています。

まとめ

ここまで、2024年の住宅ローン控除の主な変更点について説明しました。

大まかには、「子育て世帯・若者世帯には優遇措置を継続」「性能の高い省エネな住宅に対しては優遇措置を継続、そうではない住宅に対しては控除を行わない」という方向性と言えるでしょう。

なお、その名の通り「住宅ローン控除」なので住宅ローンを利用していなければ、この制度は使えません。そして、住宅ローンは「自分が住まう住居」に対してしか利用できないので、投資用として購入した物件は対象外です。

最後に、住宅ローン控除を利用する初年度は、確定申告が必要になってきます。会社員などの給与所得者であれば、次年度以降は自動的に適用されるので必要ありませんが、初年度は必ず確定申告をしなくてはいけません。

様々な書類なども必要になりますので、確定申告のやり方に不安がある、住宅ローン控除について相談したいといった方は、専門家集団である荒井税理士事務所に、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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