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2023年12月13日 不動産コラム 住宅ローン控除確定申告

「住宅ローン控除制度」とは? 適用要件と注意点

今年マイホームを購入した人、これから購入を検討している人にとって
とても大切な税制優遇制度が「住宅ローン控除」です。

今回は、2023年現在施行されている
住宅ローン控除制度について解説していきましょう。

住宅ローン控除制度とは?

住宅ローン控除制度(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、
国が行っている税制優遇制度のひとつで、
住宅ローンを組んで住宅を購入した人に対して
所得税を減額する
というものです。

数ある税制優遇制度の中でも
節税できる金額の大きさがずば抜けていますが、
これは、政府が国民に対して、住宅取得を後押ししているという背景があります。

制度内容は不定期に変更がなされており、
数年前と本年度では要件が異なります。

今後も変更される可能性がありますが、
現在の制度内容について紹介していきましょう。

住宅ローン控除で減税される金額

住宅ローン控除で減税される金額は、
「年末のローン残高」または「住宅の取得対価」のうち
いずれか少ない方の金額の0.7%
です。

例えば、年末の住宅ローン残高が5000万円であれば、
【5000万円×0.7% = 35万円】
が翌年の所得税から差し引かれます。

なお、「住宅ローン残高×0.7%」の金額が年間の所得税よりも大きかった場合、
所得税は0円になり、余った控除額は住民税から一部控除されます。

ただし、住民税から控除できる金額の上限は9.75万円と決まっており、
それ以上を超えてしまうと、その分は控除となりません。

住宅ローン控除の適用期間は、最低10年、最大13年間

「住宅ローン残高×0.7%」の控除が続くのは、最低で10年、最大13年間です。

1年目の残高と10年目の残高は異なりますが、
いずれにしてもローン残高の0.7%は控除され続けることになります。
年間数十万円程度の控除額は十分に見込めるので、
10年間だと数百万円分、節税できることになります。

実は2021年まで、控除率は住宅ローン残高の1%でした。
ですが、最近の住宅ローン金利はとても低金利で、
住宅ローン控除を利用すると利鞘が出るような状況だったので、
2022年〜2023年度の改正では0.7%に控除率が下がってしまいました。

それでも他の税制優遇制度と比べると、
節税インパクトが強い制度には変わりありません。

住宅ローン控除を受けるのに必要な要件

住宅ローン控除を受けるには、
「住宅ローンを借り入れて住宅を取得したこと」以外にも、
さまざまな要件があります。

1. 住宅ローン控除の対象となるもの

住宅ローン控除の対象となるのは、
新築住宅や中古住宅を購入した時だけではありません。
土地の購入代金や、リフォーム代金についても対象になります。

【住宅ローン控除の対象】
・新築住宅(注文住宅、建売住宅、分譲マンション)
・中古住宅(戸建住宅、分譲マンション)
・リフォーム(増改築、省エネ改修、バリアフリー改修)
・土地(土地のみは不可)

2.住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除の適用要件は、以下の通りです。


【住宅ローン控除の適用要件】
・自身が居住する住宅であること
・床面積が40㎡以上(50㎡未満の場合は、1000万円の所得制限あり)
・(中古住宅の場合)築年数が一定年数以下※、もしくは耐震性能がある
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・その年の合計所得金額が2000万円以下
・引越しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居

※新耐震基準適合住宅(1982年以降に建築された住宅)であることに緩和
出典:国土交通省「住宅ローン減税の概要について

対象外になるのは、セカンドハウスや投資用物件など、
自身が居住する住宅でないもの。
また、土地のみを購入したといった場合です。

所得金額にも制限があり、所得が2000万円を超えてしまうと
その年は住宅ローン控除の対象外となります。
なお、床面積40㎡以上50㎡未満の物件については、
所得が1000万円までに引き下げられるので、その点も注意しましょう。

物件種類別、住宅ローン控除の上限額と期間

新築・中古・リフォームそれぞれによって、
住宅ローン控除の対象期間や、控除額が異なります。

1.新築住宅の場合

新築住宅の控除期間は最大13年間。
対象となる住宅の性能の度合いによって、
最大控除額が異なる仕組みになっています。

【新築の減税対象と借入限度額 (2022〜2023年、カッコ内は2024〜2025年)】
・認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅):借入限度額5000万円(4500万円)
・ZEH水準省エネ住宅:借入限度額4500万円(3500万円)
・省エネ基準適合住宅:借入限度額4000万円(3000万円)
・その他一般新築住宅:借入限度額3000万円(0円)

認定住宅とは、「一定レベルの性能を持ち合わせた住宅」と
行政から認定を受けた住宅のことです。
長期優良住宅・低炭素住宅の2種類があります。

ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅とは、
太陽光発電の設置や高断熱化によって省エネ化が達成できており、
1年間で住宅が消費するエネルギーが±0になることを目指した住宅です。

省エネ基準適合住宅とは、ZEH水準省エネ住宅よりも
多少消費エネルギーは高くなりますが、十分に省エネがなされている住宅です。

そのほかの一般住宅とは、こうした省エネ化や
認定を受けていないものを指します。

なお、中古住宅を不動産会社が購入し、
フルリノベーションなどをほどこした上で販売する
「買取再販住宅」も新築住宅のうちに入ります。

2.中古住宅(既存住宅)の場合

中古住宅の控除期間は最大10年間。
区分は2種類となっています。

【中古住宅の減税対象と借入限度額】
・認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅):借入限度額3000万円
・その他:借入限度額2000万円

一覧で確認したい方はこちらの表も参考にしてください。

3.リフォームの場合

大規模リフォームをしたという人も住宅ローン控除の対象です。
なお、リフォームに限っては住宅ローンを借り入れていなくても適用できます。

対象となる工事は次の通りです。

【リフォームの減税対象】
・大規模の修繕又は大規模の模様替えの工事(増築、改築、建築基準法に規定による)
・マンションなど区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
・家屋の居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下のいずれかの床、または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
・一定の耐震改修工事
・一定のバリアフリー改修工事
・一定の省エネ改修工事

それぞれの工事において最大控除額は異なりますし
細かく要件が定められているので、
詳しく知りたいという方は専門家に相談してみましょう。

住宅ローン控除を受けるには、確定申告が必要!

住宅ローン控除を受けるには、
住宅を購入した初年度、もしくはリフォーム工事をした年に
確定申告をして必要書類を提出しなくてはいけません。

必要な書類は、以下になります。

【住宅ローン控除を受ける際の必要書類】
・確定申告書
・本人確認書類の写し(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
・源泉徴収票(会社員で給与所得がある場合)
・住宅ローンの年末残高等証明書
・建物、土地の登記事項証明書
・建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し

確定申告の時期は、2月16日〜3月15日までです。
直前になって慌てないためにも、
これらの書類は事前に準備しておきましょう。

なお、住宅を購入した初年度に手続きを行えば、
次年度以降は年末調整で対応することができます。

今年住宅を購入したという人、
確定申告の手続きにお困りという人は、
ぜひ一度、専門家集団である荒井会計事務所までご相談ください。

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この記事を書いた人

我々は不動産・相続に強い専門家集団です。この「行徳・妙典・浦安」地域で税理士開業して25年になります。
毎年この地域の方より700件以上の確定申告の依頼を受けており、不動産の確定申告や節税に関する対応を得意としています。
節税を考えている方、不動産の法人化を検討している方、不動産の売却を考えている方、相続対策を考えている方、不動産でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
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